「真摯に向き合った姿勢は凄い、だがしかし」すずめの戸締まり マークロス子さんの映画レビュー(感想・評価)
真摯に向き合った姿勢は凄い、だがしかし
正直、観る気はなかったのだが、友達か急用で譲ってくれたため視聴。新海誠作品は映画館では一度も見たことはない。初めて知ったのもニコニコ動画のMADが初めての出会いでその緻密な描写には衝撃を受けたものである。一応、そんな出会いもあり「秒速5センチメートル」から一応作品は全て視聴はしているのだが…
結果的に言うとここまで公開規模が大きい作品で地震というセンシティブな問題に向き合っているのは素晴らしいと思う。しかし、やっぱり内容が雑すぎる。西と東の要石あるのに西の要石(草太)を、東に打ち込む。最終的に西の要石(草太)を抜き西(ダイジン)と東(サダイジン)の要石を東に打ち込む。東、西設定意味ある?それも一つで足りるんじゃ…閉じ師の設定は付属の冊子を読んだところ素質が必要らしい。それなら一言ぐらい入れるなどあってもいいと思う。個人的には草太に特別感も感じなかったので(詠唱が必要なのかもしれないが鈴芽が戸締まり自体は行えていたし)西に要石あるならもうひとりぐらい守護者いてもおかしくないと思ってたし。そもそも同時に空いたら、一人なら処理しきれないだろうし。
まぁ、そんな設定に目をつぶってもご都合主義すぎるのだ。道中出会う人は全て鈴芽に理解を示す。鈴芽が地震を防ぐため、自分本位な行動をしても。それに鈴芽が草太に対して好意を持ちすぎている気がする。一目惚れだとして草太にのめり込んでいくエピソードが皆無。(すぐ椅子になってしまったのもあるが)風景の描写(季節感も含め)、地域ならではの食事も含めて緻密なのに人の心理描写に「生感」がないのである。「君の名は」ぐらいまで、いや天気の子でも少しあったはずのものが…人の嫌な部分、すれ違いなどしっかり描いてたはず。伯母さんはブチギレさしていたが仲直りもよくわからないまま、言語化もされず。
音楽も今回は挿入歌も含め浮いてた気がする。特にドライブの曲は安直な共感を狙いすぎであると思う。これなら「君の名は」「天気の子」のRADWIMPSだけのほうが統一性を感じるのでまだそちらのほうが良かったかな(あまりRADWIMPS好きではないのだけれど)
しかし、今回初めて新海誠作品で閉じた世界(二人中心の世界)でなくなったことは評価できるかもしれない。次回で新たに閉じた世界以外を描ければ今回の作品がステップアップのためのものだと納得できるかもしれない。