「当時傍観者だった自分には素晴らしく思えたが・・」すずめの戸締まり こたつたこさんの映画レビュー(感想・評価)
当時傍観者だった自分には素晴らしく思えたが・・
まず、劇場にきて目についたのが、
「地震の描写についての注意喚起」
ふーん、と思いながら映画を観たが、
鑑賞後理由はすぐに分かった。
多くの方が触れられているように、
前作、前々作も災害をテーマにしている。
ただ今回の映画で違うことは、
まだ歴史というには浅い
実際に起こった3.11東日本大震災を
扱っているところだ。
地震という災害をオカルト的な描写で見せ、
宮崎映画のオマージュを匂わせつつ、
きれいに風呂敷を畳んだストーリーは
素晴らしかった。
さらに洗練された映像美、音楽音響に至るまで
鑑賞後は感動して余韻に浸れた。
ただ、これは自分が当時傍観者だったからだ。
3.11を実際に経験した方、または、それに類する
災害で大切な人を失った方などにとっては
かなりヘビーな内容であると思う。
場合によってはPTSDを
発症してしまうかもしれないレベル。
冒頭に書いたように、
確かに地震描写について注意喚起はしてあった。
だが、プロモーションの時点で3.11について
触れておいても良かったのではないだろうかと思う。
ただし、映画の内容については
決して3.11を揶揄しているわけではなく
当然批判があることも折り込み済みだろう。
私は新海監督を語るには
「君の名は」や「天気の子」で知った程度だが、
それでも上記の2作品よりさらに良かったし、
感動できた作品だった。
評価は迷わず5つ星。
絶対映画館で観るべき作品と評した上で、
せめて3.11について事前に触れられていれば、
観たくないという方の選択肢になったであろう
と思い4つ星にさせていただいた。
この映画を作った新海監督の本気と勇気に
賛辞を送りたい。
〜オマケ
私が涙したシーンは叔母さんの環が
鈴芽に本音をぶちまけたシーン。
鈴芽の事を愛しているのは当然だが、
環が言った本音もまた事実。
もしその立場だったら・・と共感してしまった。
今回は天気の子のようにCMがうるさくなく、
RADWIMPSのプロモでもなく、
(あれはあれで嫌いじゃないが)
また、エンドロールへの繋ぎ方、歌も良かった。
あと、一見チャラそうな芹澤くんが
めちゃくちゃいい人なのは間違いない。
音楽の趣味も合うぞ(笑)