「最高傑作」すずめの戸締まり Under_dogさんの映画レビュー(感想・評価)
最高傑作
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深刻な自然現象とその原因を本筋としていますが、主人公とその周りのキャラクター達は皆優しさに溢れており、懐かしくて温かい気持ちになれます。
特に主人公である鈴芽は楽観的で明るく他者への思いやりに溢れており、思春期の未熟さを孕みながらも舞い込んだ使命を果たすべく決然と前へ進む勇敢な少女です。
災害で母と故郷を失った過去から時折歳に見合わないほど達観した心情を覗かせますが、この鈴芽の過去が物語において非常に重要なファクターとなります。
そして、本作のメインテーマは「地震」。
前作、前々作に引き続き自然災害を軸としてストーリーは進行しますが、こと日本でこのテーマを扱うのは正直けっこう攻めてるな、と思いました。
事前情報にはなかった3.11の描写がかなりしっかりありますし、ほとんどの日本人にとって新海誠作品史上最も"重い"作品であると言えます。
賛否分かれそうな部分として、どちらかというと恋愛要素よりも老若男女を問わない人と人との情がフォーカスされているため、新海誠作品特有の爽やかなボーイミーツガールを期待すると少々物足りないかもしれません(ちゃんと相思相愛ではあります)。
過去作と比べてファンタジー色が強いし、また前述した通り心にずっしりと圧が掛かる丁寧で残酷な描写も多いです。
テーマ的に万人におすすめできるかは微妙なところですし「面白かった」という感想は少し違うかなと思います。
ただ、深く心に留まって忘れられない作品であるのは間違いありません。
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