「うーーーーむ。」すずめの戸締まり nanaさんの映画レビュー(感想・評価)
うーーーーむ。
見て泣いた。
で、見終わって映画館を出た最初に出てきたのがこの言葉だった。
まず、色々思うところはあったんだけどこのテーマにしたのは間違いではなかったと思う。
少ないメインキャラクターの中で綺麗にいろんな角度から見ていてよかったし
背景に映りこむ原発や、防潮堤で見えない海など、刺さるシーンもあった。
そして、何よりこのテーマを十年後に「戸締り」という行為を通して振り返るのも良かった。
芹澤さんの一言が本当に良かった。
ただ、そういった要素を生かし切れていなかった気がした。
キャラクター特に主人公の心理描写や性格描写が浅く、「えー…」となるところもしばしば。
また、理不尽に襲い掛かってくる存在であるものを、「戸締り」をすれば人間が防げるというのはいかがなものか、と。あんなにいい要素があるなら、コミュニティの崩壊や、戻ってこない日々の方をもっとフューチャーすればよかったのに…とか。
自分がこの映画を見て泣いたのも、音や、子供が泣くさまを見てトラウマの傷をえぐるというか、そういうもので泣いた気がする。この映画に泣かされたのではなく、自らの中にあるもの、あの日の景色を、あの真黒く塗りつぶされたノートの中に見た気がする。
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