「私が大人になりすぎて」すずめの戸締まり RKさんの映画レビュー(感想・評価)
私が大人になりすぎて
映像や音楽は素晴らしかったです。
没頭してしまうくらい、素敵な世界観でした。
肝心のストーリーは伝えたいことが多すぎて、最終的何を伝えたかったのかなと考えています。
正直、『初めて恋を知った少女の成長を描きたいけど、それだけでは大衆受けしなさそうなので、アドベンチャー要素を足しました』という印象を受けました。
このアドベンチャー要素に問題があり、映画全体を浅くしています。
•なぜミミズなのか
•なぜ要石は猫なのか
•サダイジンとダイジンはどういう経緯で要石になったのか
•なぜサダイジンも要石の役割を離れたのか…要石は自由に動けるの…?あれダイジンはなぜ…?
•常世が荒れたのは要石達が持場を離れたからなのか
と挙げればきりがないですが、主人公も疑問を持たずすんなりと受け入れてしまうため、特に説明もなくアドベンチャーが8割を占める物語は進行していきます。
おそらく色んな年代の女性と少女の成長を描くため、アドベンチャーの背景は省かれてしまったのかなと思われます。
これに恋愛を絡めるから厄介で、主人公は恋愛を優先して、要石であるダイジンを粗雑に扱います。
要石は戸締師にとって重要な存在、お互い尊重しなくてはならないパートナー的な存在のはず。ところが主人公は自分の好きな人に呪いをかけた、元要石ダイジンに心ない言葉をかけます。何年も要石にされてたダイジンにもっと寄り添って欲しかった…。
この行動で『とても大切なことをやっている』と話していた主人公の戸締師への思いも、好きな人によく思われたかっただけなの?と意思の浅さを感じさせます。
恋は盲目ということでしょうか?
キャラクターの設定も変に現実味を帯びさせようとした結果、現実感がなくなっています。
•戸締師だけでは生計がたてられないから、教師を目指す主人公の想い人、草太。
→この設定は必要でした?教師になったら戸締師の仕事する時間取れないような…教師って有休取りにくいですよね?休日も部活の練習とかあるかもですよね?
せめて、大学教授や研究者を目指してくれ。
•椅子になった草太は教員採用試験の2次に参加できなかった。
→人間の姿でも長髪大丈夫なの?友人も髪の色とピアスの穴隠せたのかな?
最近の教員採用試験は自由度高めなのか…
主人公と草太は最終的に相思相愛だったみたいですが、4日くらいしか過ごしてないし、何があったのでしょうか。リアリティーショーと同じでカメラが回っていないところで色んな物語が生まれていたというこでしょうか…。
お互い一目惚れっぽいのですが、恋ってこんなものだったのかな、大人になりすぎて思い出せない。
タマキさん(育ての親)の心の内の葛藤や主人公の幼少期の回想は良かったです。
私が大人になりすぎて親目線の内容にしか感情移入できなかったことが原因かもしれません。
今の私にはついていけませんでした。