「おかえり」すずめの戸締まり くりさんの映画レビュー(感想・評価)
おかえり
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震災の源であるものを封じる旅と
閉じ師のイケメンとの出会いで
成長する少女の物語
なんですが
その世界観と
明日へ生きる少女の再生を
描いたストーリーに
こころが震える
生死の境界を
私たちが暮らす 現し世 と
死者が暮らす 常世 として
古来から日本人は表現
時間では夕方と夜の間を黄昏刻
場所では鳥居
本作では
時間では華やかな時代と静寂の間
場所では廃墟の扉として、
人間が意図しない所に
常世が生まれる現実を
示していました。
本作はファンタジーなんだけど
重みを与えているのは
その世界観や倫理感が
神話や民俗学と
あまり矛盾していなくて
日本人として
腑に落ちるからではと。
返事をしない死者 母に対して
問いかけるのは
現し世の
鈴芽であり、
幼い壊れそうな自分のこころを
修復するのも
亡くなった方の想い出や遺品に
思いをよせて助けられた
自分。
その線引の筋が一本通っていて
凛とした世界観に。
常世の助っ人が未来の自分で
ハリポタ的な所や
ミミズなどキャラクターデザインが
ジブリ的というのも
あるかもですが
目に見えない厄災を
防ぎたい思いや
どうしょうもない悲惨体験から
脱け出すための
こころのプロセスを
丁寧に描かれている凄みが秀逸
出会いと同じシーンの
「おかえり」で
二人の関係を思い出す
実は、
そんな重いテーマである
各地の災いを鎮める原動力が
ひとめぼれの恋心
なのが
よかったり。
おすすめ。
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もーさんさんのコメント
2022年11月20日
くりさん、こんにちは。共感ありがとうございます。非常に的確に本作の内容をとらえられているのと分かり易く(私には出出来ない😅)解説されているのにとても感心しました。夕方と夜の間の境目を逢魔が時とも言いますもんね。