「視聴者置いてけぼりで主人公だけが猛スピードで駆け抜けていく作品」すずめの戸締まり eniさんの映画レビュー(感想・評価)
視聴者置いてけぼりで主人公だけが猛スピードで駆け抜けていく作品
クリックして本文を読む
前作天気の子が好きだった身として、非常に残念な印象でした。
まず出頭から主人公がイケメンにすれ違っただけで恋をし学校をさぼってまで追いかけ、どこでもドアが現れたり喋る猫が現れたり人間が椅子に変化させられたりといったファンタジーな世界が次々と出現するのに即順応していくという、唐突且つリアリティーの無い展開が続いたことにより、完全に感情移入できないままどんどん物語が進んでいく。
また、やりたいこと、テーマを詰め込みすぎてるのではないか、とも感じた。それによって一つ一つの要素が薄くガンガン進んでいくので終始「ポカーン」としてしまう。
ロードムービーをやりたい、ファンタジーな描写をやりたい、親と子の関係性をやりたい、震災をテーマにしたい、そしてやっぱり恋愛も入れたい、と。
前作は、一人の少年が少女に恋をして、その人のために、というのがすべての行動基準で、それを軸として物語が進んでいくので非常に分かりやすかったが、今作はその「軸」が見えない。
また、新海作品の良い点の一つとして、音楽を最大限利用した演出、というのがあるが、
前作のクライマックスシーンのグランドエスケープは、あのシーン見たさに何度も劇場に足を運んだくらいだが、今作は歌のシーンがそもそも少なく、クライマックスでもあまり良い演出が見られなかったのが非常に残念だった。
ミュージックビデオだ、などと揶揄されていたのを気にしてのことなのだろうか。非常に残念。
コメントする