劇場公開日 2022年11月11日

「表現者として3.11をどう総括するのか」すずめの戸締まり po.bacardiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5表現者として3.11をどう総括するのか

2022年11月18日
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今ひとつだった「天気の子」から一転、作家としての気概にあふれた一作となった。

災害国である日本で、カタストロフィから逃れるための祈りとして、「閉じ込め師」が日本を縦断するロードムービー。

目的地の宮城で男女関係に収れんしていく終盤は賛否が分かれるかもしれないが、若い世代には支持されるだろう。震災孤児である主人公が、災害にあって母親を涙ながらに探す少女時代の自分に、成長した姿で語りかけるシーンは感動的で忘れがたい。

クリエーターにとって、「3.11」は描かずに済むわけにはいかない題材なのだろう。何よりも「これが撮りたい・次世代に残したい」という思いが伝わってくる。

表現者でなくとも、日本人の誰もが、3.11を総括することが求められるのではと思いを致した。ポスターにもある主人公の「行ってきます」の言葉が限りない救いとなっている。観るべし‼︎

po.bacardi