劇場公開日 2022年11月11日

「時間を短く感じたので良い映画だったのは間違いない。」すずめの戸締まり a7aさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5時間を短く感じたので良い映画だったのは間違いない。

2022年11月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

公開後すぐではなく、数日ほど空けてから見に行ってきました。
楽しみにしてたというわけでは無かったのであまり期待はしませんでしたが、チラホラと「震災関連?」みたいなキーワードがあり、後で話題にもなるだろうし見とかないといけないかなと言う感覚で見に行ってきました。

結論から言えばかなり高評価です。頭では粗探しするんだけど感覚では高評価なんですよね。不思議な感覚です。

【高評価な点】
上映時間を短く感じた、あっという間だった、ダレを感じることが無かった、という自分の中での事実もあり、この部分だけで相当な高評価になります。歳を取ったのが原因かどうかわからないが2時間ほどを集中して見るってことがだんだん出来なくなってくる。テンポが悪かったり、面白く無かったりすると途端に集中力が切れて時間が気になったり、有り体に言えば「しんどくなる」ってことですね。この「すずめの戸締り」という作品ではそれが一切無かった。これはもう作品に屈服させられたと言っていいと思う。その点では「良かった」点ではある。

映画の論評をするなら客観的に他の人でも感じることが出来るであろう「良かった点」などを論じることが適切だとは思うけど、こればっかりは他の人がそうなるかはわからない。自分は非常に集中して見れたという点が「理解してもらうことができないが自分には相当良かった点」である。

【なんかこう腑に落ちない点】
作品の脚本がどうとか演出がどうという話ではなく、上記の「良かった点」が「面白かった点」でない所に集約されているのかなと。自分はエンタメ重視の「楽しんでナンボ」という派閥ですのでそこに重きを置いて評価する傾向なのですが、「たのしかったぞーーー!」って素直に言えない自分がおります。やっぱテーマが心をエグってくるのでね。。。楽しい!と言う感覚ではないのに見逃せない・画面に釘付けられたというのはあまり無い感覚でちょっと戸惑っております。

【その他】
このテーマ、「この素材出されたら絶対泣くやん」って奴なので、心は動かされるよね、エモーショナルだよねって薄っぺらい感想になる。にしても安易にこのテーマを扱うと批判も出ちゃうと思うんだけど非常に上手く消化・表現されていて、ちゃんと素材の味を生かして完璧に調理してくれているなという印象。御多分に漏れず自分もボロ泣きしてましたけど、「そんなんズルいやん」という感想と共に2時間の映像作品としてほぼ完璧な出来栄えだったなと言う感じです。

映画鑑賞が平日の遅い時間だったので同時に数組しかいませんでしたが、終了後照明がついて明るくなってからも10秒ほどは皆席を動きませんでしたね。自分も動けませんでした。みんな「ふぅー」と一息ついてから動き始めるといった感じでした。東日本から10年、阪神淡路から四半世紀、その他の地震や火山噴火洪水被害など自然災害の多い日本ですが日本に住んでいる以上、心のどこかに忘れない悲しみみたいなものが残っているんだなぁと気づかされた作品でした。

【作品内ポイント】
作品の中では「チャラ男芹澤」が良いヤツでしたね。
主人公友人・脇役ポジで人気出る奴なんですがドはまりしてましたね。これも安易なんだけど自分もお気に入りのキャラになりました。

【最後に】
「面白いから見てほしい」というより「感想が聞きたいから見に行ってほしい」という作品です。映画代金の価値が有るかは保証はできませんが、自分は2時間バッチリ映画の世界にハマれたのでそれだけは間違いないです。スクリーン数も多いのでシネコンならフラッといつ寄っても1時間以内に上映開始がある感じなので沢山の人に見に行ってほしいですね。

a7a