劇場公開日 2022年11月11日

「信頼と実績の「新海 誠」作品。」すずめの戸締まり こけさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5信頼と実績の「新海 誠」作品。

2022年11月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

幸せ

 冒頭のシーンからタイトルを出す演出が粋過ぎて一瞬で心を奪われた。
ああ、これはきっと面白いぞ、という高揚感が「新海 誠」作品では感じられる。

 物語は「扉」を通して展開され、その扉から巻き起こる災いを一人の少女、「鈴芽」と閉じ師の「草太」がその災いを防ぐべく「戸締り」をしていくお話である。

 タイトルには「すずめの戸締り」と書いてあるが鑑賞後に感じたのは物理的な「扉」は戸締りをしたが「鈴芽」の心の扉は「草太」との戸締りを通じて開けていっている様だと感じた。どこかで母との記憶をシャットアウトし、本来の自分の心の扉を締め込んでいたような。その心が「草太」との出会いや戸締りの旅先で出会う様々な人のおかげで変わっていっていた。そんな人間の深層心理を突くような所も見どころの一つである。

 次に、災いを起こすミミズを扉の中に閉じ込めた後の描写に焦点を当てたい。扉が開けば災いを起こすミミズが存在を表す。そして、「鈴芽」や「草太」達が扉の鍵を閉めると空いっぱいに覆い被さっていたミミズが閉じ込められ、雨が降る。私はこの「雨」をそこにかつて住んでいた人々の「涙」であると感じた。涙は様々な種類のものが存在している。嬉し涙、悲し涙、悔し涙 etc…。このミミズも大事な描写なので注目して見て欲しい。

 「ダイジン」という愛くるしいキャラクターが良い味を出し、物語に更に深みを持たせており、あの手のタイプの猫キャラクターは私の個人的趣味での意見だが、まどか☆マギカの「きゅうべぇ」に通ずるものがあった。

 全体を通して、物語が驚くほどスムーズに進んでいくため見る側としても非常に物語に没入しやすくまるで「鈴芽」と一緒に自分も成長していくかの様な一体感が感じられた。

 通常の映画スクリーンの観賞でも十分面白いがIMAXの上映もあるので是非、大音量、高画質で過去と未来を繋ぐ、「戸締り」の物語を全身で感じて欲しい。

こけ