「自然主義を体現した作品」すずめの戸締まり ももたそさんの映画レビュー(感想・評価)
自然主義を体現した作品
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新海誠監督特有の緑、青と黒、赤のコントラストが印象的でした。
ここまでかと言うほど自然主義的な映画の内容で、ジブリの作品みてるのかなと感じました。というかジブリ作品のオマージュだと思った。
緑から生まれた私たち人間が青の神聖な水に還って行く、唐突に人間の上に降り注ぐ、赤黒い神の怒りの渦。それは自然と共に生きると決意した人間に与えられた使命のように感じました。
特に扉の中の災害は地獄のようで、石が刺さった山は青い水が流れてたのが混沌としていてすごく絵が綺麗でした。災害のシーンは映画の後隣の女子高生が怖い怖いと言っていたのに同意します。
ドライブしている時、東北の景色をみて芹澤がきれいだと呟いたとき、私も東北に以前訪れた際、とても綺麗だと感じたので驚いた。すぐあとすずめが、綺麗なわけないと言っていて、震災を実際に体験したすずめからしたら忌々しい記憶を甦らせる景色でしかない訳で、当たり前で、申し訳ないなと思った。けれど、不謹慎な事は承知の上で、人間があれほどの時間をかけて作り上げた文明を震災が一瞬で全て破壊し、破壊された土地の上に新たな命が息吹き自然を作り上げる、あのなんとも言えない景色を目の前に、言葉に表すことが出来ないような感情になった、それをこの映画をみて思い出しました。この映画はあの震災を体験した人としていない人では感じ方がすごく違うと思います。
きっと未来を見て歩くことは難しいけど、人間はいつか必ず自然に身体をお返ししなければいけないから、今生きている自分という存在を大切に、いってきますと言いたいですね。
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