「宇宙が生んだ奇跡の物語!」すずめの戸締まり 三輪さんの映画レビュー(感想・評価)
宇宙が生んだ奇跡の物語!
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壮大なストーリーに、膝が震えました。隕石、洪水、そして地震と続く新海監督の面目躍如と言える作品です。ただし、宇宙に対する真摯な畏敬の念を抱いていない人には、理解し難いところもあるかもしれません。この作品は地震という災害をベースにしながらも、すずめの不幸人生への考え方を、決定的に変える草太との出会いによって、清々しく成長していく姿に、涙が禁じ得ません。母を3.11で失った悲しみを乗り越えた瞬間、すずめは希望の「明日」になります。素敵なセリフは続きます。「人生が幸せになるシナリオは決まっている」。そして母を失った時からすでに「幸せをもらっていた」と気づくのです。彼女のその健気な気づきは、実は私たちに対しても、大事な人生に対する視点を教えてくれているものでした。感激です。この宇宙に生きる幸せを、見事に描いているとしか思えません。この作品では、すずめはいつも幸せを呼ぶ招き猫です。移動する先の旅館やスナックを繁盛させます。それから、好き嫌いはあるにせよ、巧みな例えがすごいです。地震はみみずです。愛する草太は椅子になります。地震を封じるのは2匹の猫です。また、移動距離は宮崎から宮城まで。そして、懐かしい懐メロ満載に、作り手の深い愛情を感じました。いずれにしても、新海監督の背後にある宇宙の力が生んだ傑作だと私は確信します。
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