劇場公開日 2022年11月11日

「ゴジラ」すずめの戸締まり サブレさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ゴジラ

2022年11月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

君の名はでは隕石衝突を、天気の子では東京を水没させるほどの豪雨を描き、そしてこのすずめの戸締りで描かれたのは地震。これらを災害シリーズといってもよいだろう。前二作では人間ではどうしようもできない天変地異あるいは神の悪戯と読めるような、あくまでフィクションとして楽しめるような描写だったが、本作では一気に現実との距離を詰める。
地震が起き、警報が鳴り、震災の跡が残る被災地へと足を運ぶのだ。

私は、前二作で新海監督が描きたかったのは人間を翻弄する神とそれでも精一杯生きる人間だと思っていたが、監督はきっとゴジラを描きたかったのだ。戦争や災害の象徴であるゴジラ。災害をフィクションにうまく落とし込んでエンタメと両立したかった。そうすることで、災害と、どん底から立ち上がる人間の強かさを、三作通してずっと描きたかった。そのように見えた。本作は落とし込みがストレート過ぎたようにも思うが。
ただ、君の名はでは回避しただけ、天気の子では東京水没よりもヒロインを自らの意思で選択した一方、本作では神が手助けしてくれなければハッピーエンドにはならなかった。どうしようもならないけどどうにかする、どうにもならない中でなんとかあがく、ではなくて、運よくハッピーエンドになった点には小さな矛盾を覚えた。

サブレ