「すずめくん、東京を救う」すずめの戸締まり グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
すずめくん、東京を救う
村上春樹さんの短編『かえるくん、東京を救う』は、神戸の震災後に書かれた連作集のひとつです。
この映画は、まるで、そのかえるくんを原作として大胆に翻案した。そんな印象を受けました。
以下、この短編小説からの一部要約と部分的な引用。
(原文のままではないので、間違い等あればすべて、私個人の責任です)
主人公片桐はしがない信用金庫の新宿支店の融資管理課の係長補佐。誰もやりたがらない貸出金の回収を担当していますが、時にはヤクザ相手のことも。それでも、黙々と筋道を通して仕事をやり続ける市井人で、〝普通の〟勇気を持ち合わせた人。
そんな彼のもとにある日、突然、かえるくんがやってきて、東京に地震を起こそうとしている〝みみずくん〟と闘うのだが、その闘いにはあなたの勇気と正義が必要だ、実際に闘うのはわたし(かえるくん)だが、君は勝てる、君は正しいと声をかけて欲しい、と頼むのです。
かえるくんは、片桐が煙草をすってもいいか、と聞くと、「あなたのおうちじゃありませんか。ぼくに断ることなんかありません」と答えます。
(芹澤と環の会話のようにも聞こえませんか)
みみずくんは地底に住んでいて、腹を立てると地震を起こす。
実際のところ、みみずくんはなにも考えていない。
彼はただ、遠くからやってくる響きやふるえを身体に感じとり、ひとつひとつ吸収し、蓄積しているだけなのだ。
そしてそれらの多くは何かしらの化学作用によって、憎しみというかたちに置き換えられる。
学のあるかえるくんはこんなことも言うのです。
ジョセフ・コンラッドが書いているように、真の恐怖とは人間が自らの想像力に対して抱く恐怖のことだ。
これ(みみずくんとの闘いのこと)は責任と名誉の問題で、どんなに気が進まなくても、みみずくんに立ち向かうしかない。
命を落としても誰も同情してはくれない。もし、首尾よくみみずくんを退治できたとしても、誰もほめてはくれない。どう転んでも孤独な闘いです。
以上、取り敢えず思いつく中で、この映画とテーマを共有できると思われる部分を書き出してみました。
私には、村上春樹さんのこの小説からテーマを拾い上げ、監督のやり方でそれを表現しているという点では、『ドライブ・マイ・カー』以上のように思えたのですが、いかがでしょうか。
美紅さん、こんばんは‼️
私は、映画だけではなかなか理解できないことが多いので、その助けとして本を読んでるという面も多分にあります。
それでも分からないことは多いのですが😂
死ぬまで、勉強は続くということですね、やれやれ😆
グレシャムの法則さん、お邪魔します。
グレシャムの法則さんとりかさんとの「なぜミミズ?」に
関するやり取りを拝見いたしました。
村上春樹さんの本は余り読んだことが無いのですが、レビュ
ーで紹介されている本、内容が気になりました。
読んでみようと思っているところです。
それは、運命だったのかもしれないし、本人たちのちょっとした気まぐれがきっかけだったのかもしれないし、両方だったのかもしれない。人生はそれほど自分ではコントロール出来ないもの。それでも、いつも想像力を働かせて、自分なりの物語を用意しておけば、いいことだってきっと起こる。
新海誠監督は、もし自分が原宿の裏通りで彼女に出会ったら、こう声をかけよう❗️と思ったのです、きっと。
『ねえ、君の名は?』
村上春樹さんの長編小説の主人公は、多くの場合、妻や恋人や友人について、大きな喪失を経験します。
その理由は、主人公だけでなく読者にも最後まで明確には語られないまま、何が起きたのか、どこにいるのか、行き先も知らされないまま、登場人物と一緒になって読書という旅を続けることになります。
彼女の心変わりなのかもしれないし、外部要因によるのかもしれない。いずれにしても、主人公にとっては、〝理不尽〟としか思えない。(続きあり)
グレシャム様、コメントありがとうございます。なるほどハルキストの視点からのレビュー流石でございます。俄然読みたくなりました。
私のレビューは相変わらず馬鹿でごめんなさい。
サッカー大国のドイツに勝ったのはどこのどいつだい?
にっぼんだよ!
グレシャムさんのレビューはテーマやメッセージに注目されますね。私はつい目の前の細かい違和感に引っかかって、全体像を見そこなったんじゃないかと思う時があります。
コメントありがとうございました。昔の人が地震は大ナマズが起こしていると考えた、というのは聞いたことがありますが、ミミズの方が理解できます。人間が開発と称して地面に勝手に穴を掘るわ土壌汚染するわといじりまくり、ミミズの怒りが頂点に・・・こんなストーリーなら楽しめたかも。本作も面白くはありましたが。
環さんの件は、最初、何か悪いものに操られて言ったように見えたんですが、サダイジンがそんな事をする意味が分からないので、まだまだ未熟な環さんの暴言を止める為にサダイジンが眠らせたのでは?と考えました。
教養の深いグレシャムさんならではの新たな視点のレビュー!とても参考になります☺️ 『かえるくん、東京を救う』村上春樹さんの作品とめちゃくちゃ重なりますね!
ミミズと地震についての考察を他の方もレビューでも読んだのですが、やっぱりミミズは地震と大きく関連しているんですね…。
読んでみたくなりました。