「ファンタジーすぎるかも、、、」すずめの戸締まり 田辺さんです。さんの映画レビュー(感想・評価)
ファンタジーすぎるかも、、、
今作は個人的に少しファンタジーに飛びすぎていると感じました。別にファンタジーが強い映画が嫌なのではなく、今作も今までと同じように普通の日本に住む高校生が主人公である現実的な世界観がベースなのに、異空間に繋がる扉や椅子に変えられてしまうソウタさん、なぞの閉じ師という家業にダイジン、左ダイジン、ミミズといった妖怪たちと、あまりに個性の強い設定から上手く現実世界と絡めて脚本を書けていないように感じました。前作、前々作の「君の名は」や「天気の子」も非現実的な設定ではあるものの今作程突飛な物ではなく上手にまとめることが出来ていたように思います。
主人公のすずめがなんだこれって感じで拾い上げた要石が発端で大災害が起こりそうになるという展開の無骨さや、ダイジンが要石に戻ることを散々嫌がっていたのに、物語終盤で急にやっぱり戻るわって秒で石の姿に戻ってしまうことの都合の良さや、なにより主人公が物理的に九州から東北までの長距離を移動をするとなると、それ相応にたくさんの物語があるわけで、たしかに道中様々な出会いがあったけど、それ故にやっぱり駆け足ぎみになっているようにも感じました。
やっぱり「君の名は」から「天気の子」と期待値も増しハードルが上がっているさなかのコロナ流行と今まで通りに作品を作ることの出来ない時期があったかもしれないし、映画特典にも「我々作成陣は全身全霊を尽くしたが、観客からは我々の裏での尽力は見られず作品そのものしか評価されない」とあまり今作に自信の無いような言い方をしている発言が見受けられるので、監督自身も今作にはあまり納得がいっていないのかなと思いました。
また監督の現実的な世界観にすこしだけのイレギュラーをテイストに混ぜ合わせた不思議な感覚になる映画が見て見たいです!