「強い覚悟と意志を浴びて改めて向き合うあの日」すずめの戸締まり ナナシさんの映画レビュー(感想・評価)
強い覚悟と意志を浴びて改めて向き合うあの日
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まず最初にこの作品を世に送り出す決断をした製作者全員に敬意を払いたいです
きっと並大抵の覚悟や意志では完成させられなかった事と思います
東日本大地震を扱う重いテーマでしたが、適度に挟まるコミカルな描写と圧倒的なファンタジー描写ですんなりと観れる前向きな作品です
何度もクライマックスのような圧倒される展開が訪れ、その度に心が震えました
表向きは日本全国を駆け巡るロードムービー、裏のテーマは忘れられた土地にあった生活、感情などに想いを馳せ、悼む所にあると感じます
廃墟とされた土地の最後はきっと悲しいものが多いが、そこでは確かに様々なドラマを多くの人々が紡いでいたはず
美しく、活気あった景色が無かった事にはならない
そんな当たり前の事をこの作品に触れるまで私は忘れていた気がする
すずめは幼い頃に親を、街を亡くし、楽しかった思い出もあの日から燃え続ける悲しみに覆われ、いつしか忘れる事で前を向いて生きてきたのだろう
故郷というものは安心して帰れる場所であるはずだが、彼女にとってそうではなく、きっと同じような思いをしている方も大勢いる
すずめは日本全国を周り、様々な土地に、人に触れ、何も残っていない故郷で、あの日の感情と向き合う
かつて絶望や悲しみの感情を引き摺ったまま去った土地で、今度は澄み切った空のような晴れた気持ちでただ前向きに生きる強さと共に帰路につく
そんなすずめの姿に私はいつの間にか生きる事が怖くなくなっていました
生きるも死ぬも運でしかない
それでも生きていたいと強く思えるような作品でした
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