「作品の戸締まりはもう一押し」すずめの戸締まり サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
作品の戸締まりはもう一押し
〈レビューの前に〉
ホームページの方でも記載されてありますが、改めて。この映画には本来のものとは異なるものですが、緊急地震速報の警報音が鳴ります。後半になるにつれて警報音の頻度と長さは増していきます。そして、ホームページには記載されていませんが、東日本大震災のシーンもあります。リアルと言うよりも、ノンフィクションの描写ですので、ご鑑賞の際には十分お気をつけください。
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新海誠監督最新作「すずめの戸締まり」。
今回もまた、試写会に参加させていただきました。TOHOシネマズさん、本当にありがとうございます!本作に関しての思いは、どんなものを見せてくれるんだろうという期待と予告から感じるちょっとした不安が入り交じっている状態でした。ここは期待せずに見よう思い、劇場に足を運んだわけですが、そんな不安は要らなかったようです。普通に面白かった!
公開前ですので、ネタバレ無しでレビューしていきますが、多少内容に触れる部分がありますので、完全初見でご覧になりたい方はお控えください。
戸締まり?災い?後戸?かなりファンタジーなストーリーを違和感無く見せてくれる凄さ。冒頭の掴みは完璧だったし、難なく世界観に入り込める。映画館という空間を包み込むような音響、そして鳥肌モノの演出の数々が、新海誠ワールドに観客を引き込んでくれます。気付いたら自分がとんでもなく夢中になっていて、ハッと我に返った時に驚かされる。作品への没入度合いが半端じゃないのです。
「君の名は。」の時よりも一つ一つの描写が洗練されていて、絵の美しさも増している。ファンタジーなストーリーにリアリティのあるイラスト。本作は災いをもたらす扉を締めるために、全国各地を旅するロードムービーでもあるのだけど、そのロードムービーとしての質がめちゃくちゃ高いのです。現地の人の温かさに癒されることはもちろんのこと、ご飯や建造物、街並みはどれもとても綺麗で、アニメーションの進化に衝撃を受けるばかりです。
そんな旅の中で色んな人と関わりを持ち、様々な面で成長していく主人公・すずめ。どんなことにも臆することなく立ち向かい、たくさんの強さを身につけていく彼女ですが、成長を遂げる度にこのすずめという人物の魅力が溢れ、愛おしくなっていきます。
こんな魅力的なキャラクターになったのは、もちろん監督の丁寧な人物描写のおかげでもあるのですが、すずめに声を吹き込んだ原菜乃華の声優力が大きいと思いました。初挑戦とは思えない、自信のある力強い声色ですずめというキャラを繊細に演じており、一気に彼女の虜に。声優本業ではないですが、これからも声優として活躍できるくらい、素晴らしい演技力でした!颯太役の松村北斗も非常に良かった!あと、人間の時よりも椅子になった時の颯太の方が好き笑 ぎこちなさが笑えました
そして、本作で最も驚かされたのが、RADWIMPSの偉大さ。ホント、RADWIMPSあっての新海誠作品と言っても過言ではありません笑 ここまで作品の雰囲気に合わせた楽曲を制作出来るのは、彼らしかいない。面白い!いい作品だ!と思えたのは、間違いなくRADのおかげ。RADファンの皆さん、鑑賞必須です。
ここまでべた褒めなのに、なぜ星5にならなかったのか。それはズバリ、後半の謎の失速感です。前半はテンポもよく、スピーディかつ丁寧に物語を描いていたのですが、後半からはそれらが失われます。物語の展開としてテンポが落ちるのは致し方ないとしても、一気に描きが雑になるのにはガッカリ。ラスト際には盛り返して面白くなるのですが、展開が飛び飛びで前半の丁寧さは損なわれたまま、幕を閉じてしまいます。
無駄に求めてない笑いに走ったり、登場人物が放つ言葉に違和感を感じたり、壮大なストーリーへの落とし込みが足りなかったりと、様々な問題点を抱えたまま、エンドロールを迎えてしまったのが、星5にならなかった理由だと思います。そんな思いになったのは、前半がとても素晴らしいものだったから。非常に惜しい作品でした。
トータルで見ればとても面白い映画です。
「君の名は。」のようにストーリーのパンチが弱いように思えますが、個人的にはかなり楽しめました。作品のインパクトは高く、これからずっと忘れることの出来ない映画のひとつとなりそうです。
長く話してしまいましたがまとめると、素晴らしい作画と演出、そして初挑戦とは思えない2人の声優力、何よりRADWIMPSがもたらす力は偉大なんだと、驚き続きの前半。しかし、後半の失速感は酷く、描き不足が否めない。後戸の戸締まりは出来たけれど、作品の戸締まりはもうひと押し映画。
でも、見て損のない作品かと思います。比べる訳ではありませんが、個人的には「君の名は。」よりも好きでした!公開は11月11日です。ぜひ、大スクリーンでご覧下さい!
共感ありがとうございます。
レビューの前にというタイトルで、
東日本大震災に触れて頂きありがとうございます。
私は、4年間の大学生活を東北地方で過ごし、
カミさんの実家も東北地方なので、東日本大震災には強い思いがあります。
本作、良作ですがフィクションに徹して欲しかったです。
では、また共感作で。
-以上-
RADWIMPSいいですね。サントラ聞きましたが、本作には登場していない曲もあるようです(気のせいかもしれませんが)。
私も「地震」や「地震速報」は知ってみたのですが、「震災」に直は知らずに見ました。「神戸」「12年前」北上と来たので、まさかと思って見ていましたが、、
とてもセンシティブな題材なので、架空の都市のままでも良いところを、あえてど真ん中の演出です。
だからいろいろ思い出して泣けましたね、、。苦手な人や批判もありそうですが、私は感動と感謝です。
今晩は。コメント有難うございます。
「線は、僕を描く」の得点ですが、この作品は涙が滲んだのですよ。で、4.0から得点を変えました。
で、今作。
素晴らしい映像をベースにしたストーリー展開の瑕疵なき、出来栄え且つ、地震大国日本へのメッセージや廃墟に扉が出来るメッセージなど、見応えがありましたね。
映画のゴールデンアイテム”恋愛””ロードムービー”要素も巧く絡めていて、新海監督の現代日本に対する想いが、強く伝わって来た作品でしたね。では。