劇場公開日 2022年11月11日

「【新海監督の現代日本を憂える映画降誕。災害を防ぐ為に若き男女が、日本各地の廃墟の扉を必死の想いで閉めるロードムービー且つ、ピュアな恋愛映画。過去に悲しき想いを抱えた少女の成長物語でもある。】」すずめの戸締まり NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【新海監督の現代日本を憂える映画降誕。災害を防ぐ為に若き男女が、日本各地の廃墟の扉を必死の想いで閉めるロードムービー且つ、ピュアな恋愛映画。過去に悲しき想いを抱えた少女の成長物語でもある。】

2022年11月11日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

-  今作品は災害を防ぐ二人の若き男女のロードムービーであり、恋愛物語であり、哀しき過去を抱えた、少女の成長物語である。
  映画の面白き要素をキチンと盛り込んだ、瑕疵無きストーリー展開に観入られた作品でもある。-

◆感想

・新海監督は、人知の及ばない自然災害をテーマにして来た事は周知の事実だが、今作品では、日本人にとっては喫緊の問題である地震をテーマにしている。
勿論、3.11も描かれている。
これを批判する方もいるだろうが、私は”是”とする。

・何故ならば、自然災害の理不尽さから目を背けていては、日本の未来はないからである。
新海監督は、そこに批判覚悟で斬り込んだのである。
その心意気を良しとしたい。

・そして、観る側は自然災害の理不尽さを、新海監督ならではの美しき自然描写の裏側から読み取る事に依り、日本で近年多発する、気象の激甚化を含めた、自然災害の恐ろしさをリアルに感じるのである。

・全国の廃墟に現れる"地震を呼ぶ扉"を必死に閉める旅をする、すずめと椅子に姿を代えられた草太の、自らが要石になってでも地震を防ごうとする崇高な姿には心動かされる。
 又、各地ですずめを助ける、善性に溢れる人々の姿も、素晴らしい。
- 但し、草太はすずめに恋心を持った為か、生にも執着する。自然な事である。すずめも又・・。-

・そして、すずめが東北の哀しき地に、多くの人の善意により辿り着き、幼き時に見た小さな女の子に寄り添う女性が誰であったかを知った時、すずめは過去の悲しきトラウマを乗り越えたのであろう。

<今作品は、自然災害と向き合う事の必要性を、観る側に問い掛ける作品である。
だからこそ、私はこの物語から自然災害に負けない備えの必要性(BCP&BCM)を改めて感じ、それを多くの人が実践する事で、気象の激甚化が進む現代日本に生きる中で、 私達が新たなる未来への希望を見出した作品なのである。>

■2022.12.31追記
 ・私の第二の故郷である山形県、鶴岡市で土砂崩れが起きてしまった。
 年の瀬に非難されている方々、行方不明の高齢のご夫婦の方が一刻も早く、救出と安寧の日々が戻る事を祈念する。
そして、新たなる年は、全世界の数多の紛争が終結し、自然災害も最小限になる事を願う。

NOBU
みかずきさんのコメント
2022年12月13日

昨夜(12/12)、新海監督がNHKのクローズアップ現代に出演して、
すずめの戸締まりと東日本大震災について語ってくれました。
新海監督の映画製作に向き合う真摯な姿勢がよく理解できました。

次回作に期待します。

-以上-

みかずき
ニコラスさんのコメント
2022年12月2日

こんにちは。コメントありがとうございます!
とかく日本ではタブー視されがちなテーマによくぞ踏み込んだものだ、そして考えさせられる内容に仕上げてくれたと、この作品に感謝します。
すずめと草太の覚悟の強さが、どうか災いを知らない人たちの胸に重みを伴って染み入ってくれたらなぁと強く願ってしまいました。
忘れてはならないし、次に繋げなければいけない教えでもありますね。

ニコラス
Bacchusさんのコメント
2022年11月28日

VOWネタとかですねw(御存じでなかったらすいません)

最初の扉をみた時はそういうものなのか…という感じだったのですが、2つ目が普通の建物の引き戸だったので、ん!?最初のってトマソン!?となりましたw発想が昭和ですww

Bacchus
masamiさんのコメント
2022年11月25日

NOBU様お久しぶりでございます。色々あって休んでいました。

私も 是 です。平穏な日常こそが大事というテーマに共感したからです。四つの大陸プレートの上に存在し台風の通り道、世界有数の活火山大国。他人事じゃない。そんな事を思いながら鑑賞しました。しかしレビューはふざけていてすみません。
定期的にレビューあげるようにします。

masami
みかずきさんのコメント
2022年11月16日

共感ありがとうございます。

本作が東日本大震災を取り上げた件については、
私のレビューに書いた通りです。

デリケートで難しい問題ですので、賛否があって当然だと思います。
いつまでも賛否のレビューが投稿できるサイトであって欲しいです。

ー以上ー

みかずき
クリストフさんのコメント
2022年11月14日

ご無沙汰してます。
久々にリアルタイムで観たい作品に行きました。
東日本大震災てアンタッチャブルなテーマですが、
日本て戦後から、いやずっと昔からそーゆー物をスルーしてきたので、
今回の英断に感服しました。

鑑賞後は、桑田佳祐の
「明日へのマーチ」
聴きながら帰りました。

クリストフ
マキさんのコメント
2022年11月11日

お返事ありがとうございます!
今月は見たい映画が山ほど沢山あるのに中々時間が取れません😂

「ブラックパンサー」も気になってます…
ではまた😊

マキ
サプライズさんのコメント
2022年11月11日

NOBUさんの星4.5、久しぶりな気がするなぁと思っていたら、「線は、僕を描く」星4.5に変更なさっていたのですね!私は星5付けたので、なんだか凄く嬉しいです笑
ファンタジー、ロードムービー、そして恋愛映画としての質が高くて、とても見応えのあるいい作品でしたよね。個人的2022年度好きな女性キャラベスト5に入るくらい、主人公・すずめがいいキャラしてました!

サプライズ
マキさんのコメント
2022年11月11日

NOBUさん、こんにちは。いいね、ありがとうございます!
鋭い考察ですね😊

私も3.11を描いたことに是とします。

なかなか踏み込めないものを新海監督が挑戦したことにも頭が下がる思いです。

マキ