劇場公開日 2022年7月15日

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「フィンランドの美しい情景とともに描かれる、ヘレン・シャルフベックの8年間。」魂のまなざし caduceusさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0フィンランドの美しい情景とともに描かれる、ヘレン・シャルフベックの8年間。

2022年7月17日
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フィンランドの画家ヘレン・シャルフベックの50歳台以降の8年間を描いた作品。
フィンランドの美しい情景の中で、ヘレン・シャルフベックの日常と創作が静かに映し出されていく。
この時代のフィンランドはロシアに併合されていたため、フィンランド人としてのアイデンティティを保つことに腐心し、ロシアからの独立を目指す機運も高まっていたらしい。
このあたりは現代にも通じる部分があるが、美術学校も女性を差別することなく受け入れ、男性女性を問わず、フィンランド文化を伝承するべく、人材を育て、世に送り出していたようだ。
この映画は、一時忘れ去られていたヘレン・シャルフベックが、ヨースタ・ステンマンという一人の画商に見出だされたことにより、一流画家への道を歩み出す物語である。
映画の中で中心的に描かれているのは、エイナル・ロイターという若者とのロマンスと破局だが、画家であり、ともに絵画を学んだヘレナ・ベステーマルクとの友情も見逃すことはできない。
世間受けする作風を捨て、自らのスタイルを追求し、かたくなに追い求めたヘレン・シャルフベック。
淡々とした作風の中、彼女の半生が静かに浮き上がる。
ぜひ、スクリーンでご覧ください。

caduceus