「徹頭徹尾バカ映画なのにアラフィフ、アラカンのラブストーリーとしてもちゃんとしてる21世紀の『ロマンシング・ストーン秘宝の谷』」ザ・ロストシティ よねさんの映画レビュー(感想・評価)
徹頭徹尾バカ映画なのにアラフィフ、アラカンのラブストーリーとしてもちゃんとしてる21世紀の『ロマンシング・ストーン秘宝の谷』
もうしょっぱなのサントラでまずガッツリツカむロケットスタート。軽快に『レイダース〜』他の冒険活劇あるあるをコスり倒します。スランプに陥った小説家がテキトーに書いた小説がファンから壮絶にディスられるとか、宣伝ツアーに押しかける熱心なファンは実は表紙にしか興味がないとか、満遍なく毒を撒き散らしたところに現れるのが大富豪のダニエル・ラドクリフ。ハリポの呪縛から解放された彼の仕事ぶりはホントに素晴らしいです。そして短い出番ながら爆笑を掻っ攫うのが我らがブラッド・ピット。本作では今まで観たことないくらいのキレッキレのアクションとバカ演技を披露して突然退場します。もうここまでで十二分にお腹いっぱいですが、本作で一番頑張ってるのがチャニング・テイタム。日本ではイマイチ知名度が上がらないのが不思議ですが、マッチョなのに愛らしい彼のキャラが全開になっているのでどこにも一切ダレ場なし。やっぱりサントラの選曲はホントに素晴らしくて、冒頭のアレの他にはパット・ベネターのアレとヨーロッパのアレ、ヨーロッパのアレは元々イントロからしてバカっぽいんですが、それをとにかくバカっぽいシーンで上手く使っていてさすがだなと感心しました。
徹頭徹尾バカな話ですがそこにチョロっと辛辣な風刺を混ぜてくるところも絶妙で、この辺は原案を手がけたセス・ゴードンの作家性が出ているような気がしました。バカ映画なので中学生がキャッキャ喜びそうな下ネタもあるんですが、『マリー・ミー』もそうだったように、アラフィフ、アラカンのラブストーリーとしてもちゃんとしているのでもうとにかく痛快です。
最初から最後までサービス満点なのでこれもエンドロールが始まっても席を立ってはいけないやつですが、最後のオチを観ないで退場した人が半分くらいいました、もったいないにも程があります。