「予想以上のB級だったが」シャドウ・イン・クラウド Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
予想以上のB級だったが
本編、ひたすらクロエ推しの作品。秘密の任務で輸送機に乗り込んだ後、離陸時から入れられた操舵室に閉じ込められる形となり、そこから後半まで無線で機の人間と揉めながら、襲来する日本の零戦と、グレムリンと対峙するという、ひたすらクロエの1人芝居となる怪作である。事ある毎にセクハラ発言をする男どもと、比較的協力的な男。どうせこの男と上手くいくんだろうな・・・等と考えていると、物語は予想を超える展開となる。本作では冒頭からグレムリンがいる事を匂わせる形であるが、何故、どこから来たのか、何体いるのか等のこちらが知りたい情報は一切省いている。 2008年公開のマット・リーヴス監督作、「クローバーフィールド/HAKAISHA」でも似たような手法が取られているが、こちらはこぢんまりした作品のため、身近な恐怖の様に思え、雰囲気作りには一役買っていると思われる。
基本は顔の見えない機の連中と無線で会話をするのだが、顔が見えない相手から暴言を浴びさせられるのは、現代のSNS社会に存在する闇を風刺したものなのだろうか。また、女性が虐げられていた時代が変化し、活躍していくという時代の変化を描写している。本作でクロエが「何でも出来ちゃう子」なのもそれが大きな理由だろう。
CGがチープで幻滅してしまう部分もあるが、83分という短い本編の中に色々と工夫が詰まっており、それなりに見応えのある作品であった。
予告ではクロエがグレムリンを思い切り殴りつけるシーンがピックアップされるが、全体に渡ってかなり突拍子の無い作品である。ここまで来ると脚本はあって無い様なもの。色々な意味ですごい作品を観た気がする。