劇場公開日 2022年3月19日

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「作品の輪郭を捉えて装丁できる監督、ロサで留めるには勿体ない作品」階段の先には踊り場がある たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0作品の輪郭を捉えて装丁できる監督、ロサで留めるには勿体ない作品

2022年2月21日
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鑑賞方法:試写会

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結局、やっぱ他人の恋愛話は好きなのよ。 そして、こう描いてくるかって感じ。池袋シネマロサぐらいでしか上映しないの勿体ないよ。ちょっとずるい、恋と愛と蛇足の話。

今泉力哉監督っぽい会話劇を感じさせながらも、個々のプロットに落とされたカラーが機能し、言葉の応酬によって、状況が思いがけない所に転がる。大学生特有の緩さも、大人の踏ん切りつかない様な感情も、みんなそう。個々が抱えているモヤモヤが透過された上で起こる議論は、可笑しくてもどかしい。俯瞰して観れる分、程よい距離感が面白い。

群像劇であるため、複雑に絡まったコードも少しずつほどけていく。その過程において、不毛な議論と作品にスパイスが効いているから、飽きが来ない。次第に見えてくるラストに対して、ガクンと1度バランスを落としかけたが、それも盛り返してくれたので、結構満足している。この尺の長さに持っていけるのは、単純に会話の輪郭をしっかりと広げられる監督なのだろうと思う。

平井亜門さんの作品を多数観ているが、過去1面倒な男に…。大学生のフワリとした性格が恋愛のまどろっこしさを生み出し、程よく散らかす。素の関西弁であろう部分も見られたし(笑)。植田雅さんもノーマルな風貌が似合う。佐々木じゃない細川岳さんは新鮮で似合うので、観ていて楽しい。手島美優さんも朝木ちひろさんも魅力的。この2人は特にズルい…。笑

199分あると知ってビビっている『恋愛依存症の女』も群像劇らしい。この監督は、作品の全体像をイメージしつつも、スクラップ&ビルドが出来る才能の持ち主だと感じる。今後とも注目していきたい。

たいよーさん。