「かつて子どもだった大人たちへ」屋根裏のラジャー 玉川上水の亀さんの映画レビュー(感想・評価)
かつて子どもだった大人たちへ
イギリスの作家で詩人のA・F・ハロルドによる小説「ぼくが消えないうちに(The Imaginary)」を、スタジオポノックが映画化した長編アニメーションは、想像によって生まれた“イマジナリーフレンド”を主人公に、現実と想像が交錯する世界で起こる冒険をエモーショナルに描いていく。
主人公の少年ラジャーは、少女アマンダの想像が生み出した、彼女以外の人間には見えない「想像の友だち(イマジナリ)」だ。
ラジャーは屋根裏部屋でアマンダと一緒に想像の世界に飛び込み、喜びに溢れた毎日を送っていたが、イマジナリには人間に忘れられると消えていくという避けられない運命があった。
アマンダに忘れられれば、世界中の誰からもその姿は見えなくなり、消えてしまうという自分の運命に戸惑いながらも、或ることを切っ掛けに、かつて人間に忘れさられたイマジナリたちが身を寄せ合って暮らす「イマジナリの町」に辿り着く。
そこでラジャーと仲間たちは、彼らの大切な人や家族の未来を懸けた冒険を繰り広げることになる。
イマジナリの対極にある、厳しい現実に日々打ちのめされながらも、我々大人は、本作を通して過ぎ去りし時を求め、ノスタルジックな気分に浸ってしまう。
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