劇場公開日 2022年5月13日

  • 予告編を見る

「映画の"売り方"について。」バブル わたつみさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0映画の"売り方"について。

2022年6月3日
スマートフォンから投稿

泣ける

楽しい

興奮

最近は"封切りと同時に配信"のケースも多いが、
[バブル]は、配信が先行する形になった。
…これがプロデュースとしては
「完全に失敗だった」と言わざるを得ない。

ストーリーについては各位評価はあろう。
私から見ても、ストーリーの"練り上げ"についてはダメ出しをするしかない。
しかし、この作品の真価はそこじゃない。

「重力は壊れた。好きに跳べ。」

[バブル]という作品のコピー。
このコピーを観る人に体感してもらうために、
本作は絶対に"劇場公開先行"にするべきだった。

重量に異常が生じ、そこかしこに"泡"が漂う東京。
パルクールという危険なゲームに身を投じ、
廃墟と泡の中を駆けて跳ぶ少年たち。
その中で出会ったひと組の少年少女。

やがて彼らは
"手を取り合うかわりに、
廃墟と泡の東京を縦横無尽に跳びまわる"
それこそがこの作品で
最も"売り"にするべきポイントだった。

この"廃墟と泡の中を自由に跳びまわる"シーンは

絶対に映画館のスクリーン・音響で観られるよう
観客にプロデュースするべきだったと思う。
明らかにスクリーンでの鑑賞に耐え得るべく作画がなされているし、
実際、"跳ぶシーン"は素晴らしいのだ。

全てを台無しにしてしまったのは「興行」
先行配信、視聴環境が観る人のスマホやTVという状況下は
"本作の最大の魅力をカットしてしまった"
そう断ずるしかない。

私の評価は"3"になっているが、
心情としては[3.5〜3.6]である。
ストーリーの練り上げについては
今一歩踏み込んで欲しかったと正直思う。
…しかし、
仮にその部分をマイナスとして引いたとしても、
現在の平均レビュー[2.8]は
不当に蔑まれている、と思う。

繰り返し書く。
本作品を不当な評価を与えることになったのは
「興行の失敗」である。
最大の魅力をわざわざカット(もしくはスポイル)
して、観客の前に出すとは何たる愚挙か!
明らかに興行サイドの失態なのだ。

映画の売り込みは、正直難しい。
本作にも欠点がなかった訳ではない。
しかしそれ以上に、
"わざわざ魅力を削って先行配信した"
興行の失敗こそが
厳しく糾弾されるべきである、と考える。

本作品の興行を担った連中に
猛省を求める。

わたつみ