「アニメ映画は観ない方乍ら絵がキレイでなかなかの迫力。フィクションですから設定は奇妙奇天烈の方が宜しく普通は浮く泡が降ってくるのが面白い(絵としても美しいし)。深読みすれば原子レベルの輪廻の話?…」バブル もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
アニメ映画は観ない方乍ら絵がキレイでなかなかの迫力。フィクションですから設定は奇妙奇天烈の方が宜しく普通は浮く泡が降ってくるのが面白い(絵としても美しいし)。深読みすれば原子レベルの輪廻の話?…
①モチーフの一つがアンデルセンの『人魚姫』なのでwikipediaでおさらいしたところ、『人魚姫』は実は王子への恋が叶わず海の泡になってしまうところで終わるのではなくその後空気の精霊に転生して空に昇っていくところで終わりなんですね。人生61年目にして初めて知りました。いやー、勉強になりますわ。本作もその最後の部分まで含めてオマージュしてるんですね。②ユーミンの『時をかける少女』の中に“♪ソ~ラは宇宙の海よ~♪”という一節があるように、本作の人魚姫様は宇宙からやって来たんですね。パルクールというスポーツも本作のおかけで初めで知りました。またまた勉強になるわ。③地方在住者としては、東京と言えばスカイツリーではなく、やはり東京タワーというのが興味深く、また東京が日本の首都で無くなってしまったというのも痛快。私の悪意からこの物語の背景をねじ曲げて想像すれば、東京の一極集中を呪う地方在住者の怨念があの泡を東京に呼び寄せたのかも。な~んて言えばお伽噺ではなく心霊譚になってしまいますが。まあ、こんな風に想像の幅を広げて自分で楽しんじゃえば良いんではないんでしょうか。④理屈っぽくなってしまった大人としては、(A)あのデカイ泡のドームの中では重力が壊れたらしいが、どのくらい歪んでいるのか(泡や足の踏み場になりそうなものは浮かんでいるが下の水は貯まったままだし花に普通に水やれるし)、(B)その重力異常は人間にどういう影響を及ぼしているとか、(C)あの赤い渦巻きは何?とか、(D)東京タワーの天辺から宇宙に吹き上げているあれは如何なるもの?とか、ついつい説明が欲しくなっていまうけれど、子供の頃は“桃を切ったら桃太郎が真っ二つになるのではないか?”なんて天の邪鬼に考えずにそのまま受け入れていたのだから童心に帰ればどうでしょう。④異種婚姻譚(この映画のカップルは結婚もしていなければセックスさえしていませんが)のヴァリエーションものではありますが、この世界では結ばれることはない二人でも(別の形で存在しているだけで)また別の世界か宇宙で結ばれるのだろう、また会えるよ、という余韻を残して終わっているのが爽やか。⑤ここから、人間も含めこの宇宙森羅万象に存在しているものは全て何からの原子が結合して出来ているものであり、いずれ崩壊し原子に戻り、またその原子が集まったところで爆発を起こし、結果色々な物質が生まれて集まり何かになり、また崩壊し…その中で出逢いと別れとを繰り返すという深淵な裏テーマになりそうなので、この辺りで止めときます…