「万物流転」バブル bionさんの映画レビュー(感想・評価)
万物流転
バブルに覆われ、磁場も重力も狂い、廃虚となった東京が舞台なんだけど、空中の浮いているバブルがプリズム効果で虹色に輝き、ポストアポカリプスの雰囲気は全然ない。
とにかく見とれてしまうほどアニメーションが美しい。それに加えて3Dアニメ以上の躍動感とスピード感あふれる人の動きは、画面から飛び出す勢いがある。ビルからビルへ軽快にジャンプ。空に飛び出してバブルを踏み台して上に移動。一人がアシストして、ロケットジャンプをするなど、アクションシーンはワクワクするものばかり。
誰もが知っている人魚姫をモチーフにストーリーが構成されているが、ヒビキとウタの巡り合いは二人の運命だけでなく、地球環境の再生の命運を握っている。ウタは、地球生命体の化身なのかもしれない。
水に覆われた東京は、明るくて美しい。『天気の子』の続編なのでは、と錯覚してしまう。二人のセカイを中心に物語が進んでいくところも似ている。『天気の子』のヒロインは神の依代だったが、ウタは人を超えた何かの存在であることは、作中で暗示されている。『天気の子』の結末は釈然としなかったが、『バブル』の終わり方は、とても感動した。セカイ系に閉じることなく、万物流転の哲学を感じさせる大きな物語でございました。
追記
劇場のスクリーンで見る、東京タワー上りはたまらない。
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