「記憶を失うイコール不幸せではない」百花 masaさんの映画レビュー(感想・評価)
記憶を失うイコール不幸せではない
原作が好きでした。母になりきれなかったであろう母、息子との距離感が独特な母を原田美枝子さんが美しく演じられてます。
そして、幼少期の傷つき体験を抱えながら、一般的な家庭モデルを持たない不安を抱え、それでもいま自らも親になろうとする息子を菅田将暉さんが美事に演じています。
川村監督が原作、脚本、監督もされてます。ワンカット、静かな作品で観た人の好みは分かれそうですが、監督が求めるものを創り上げるのに、菅田さんも原田さんも相当な戦いがあったように感じました。お二人の全てを出し切っていたのでは無いでしょうか。
物語にも出てくる一輪の花が朽ちていくように、綺麗でしっかりしてた母が記憶を失っていくこと、それを受け入れるのは本人も家族も本当にしんどいことです。
湖畔で菅田さんが原田さんに感情をぶつけているシーンは非常に胸に迫るものがありました。
記憶を失うこと、出来ていたことが出来なくなるということは健康な時から見たら不幸せのようですが、どんなふうになっても母は幸せだったんだと思わせてくれる作品でした。
コメントする