劇場公開日 2022年7月22日

「ガッキーの調整力がハンパない。」ゴーストブック おばけずかん 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ガッキーの調整力がハンパない。

2022年9月30日
PCから投稿

正直、子供向けだからと割り切った他愛のないお話であり、山崎貴監督のデビュー作『ジュブナイル』に続いて、岩井俊二の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』に影響を受けた、一種のフォロワー的な子供の青春物語だが、岩井作品のような叙情には達しておらず、むしろ、びっくり箱的ギミック満載の冒険ものとして観るのが正解だと思う。というか、普通に本作がターゲットにしている層が求めているのもそっちだとは思いますが。

思わぬ大収穫だったのが、脚本やセリフや子役の演技の拙さを補完する、新垣結衣のガッキーパワー。子供の中の唯一の大人という役どころだが、絶妙にシーンの息抜き役を担い、サムい局面でもユーモアで包み込み、この映画全体のトーンを巧みにコントロールしているようにすら見える。

わりとガッキーがいなかったら結構な惨事になっていたのではと思ってしまったが、逆にガッキーがいることを前提に、絶妙に作品の方向性の舵取りをした監督の功績なのかも知れない。得てして映画は誰が真の功労者かわからないものだが、この映画のガッキーの仕事人っぷりには心から惚れ惚れする。

村山章