劇場公開日 2022年4月29日

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フェルナンド・ボテロ 豊満な人生のレビュー・感想・評価

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5.0膨張するイマージュ

2023年5月21日
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鑑賞方法:DVD/BD

ボテロはジャコメッティの対極。
これは豊穣を祈念する中米のシャーマニズム。
これは生命を産み出す土偶だ。

「もはやボテロというジャンル」
「ボテロという宗教」
・・大成功した彼フェルナンド・ボテロに寄せられるこのような賛辞は止まらない。
出演するご子息、ご息女方も、みんなその身なりと暮らしぶりは実に立派で、あれは富豪になった父フェルナンドに繋がるお金持ちの一族の体をなしている。

何人かの妻を持ち、家族に収益をもたらし、ついには世界の恋人に到達したその様は、同じくドキュメンタリーの映画「パヴァロッティ 太陽のテノール」と重って見えた。

歴史上あまたのアーティストたちが、妻・家族・身内の人生をめちゃめちゃの貧困と崩壊に陥れてきた中で、この中米コロンビアのボテロは、偶然にも成功者として血族結束の もといとなり、幸運の星を掴んだと言えるのだろう。
MoMAのキュレーターの「あの一言」がなければ、
そうなのだ「あのー言」がなければレストランでの美酒も、モナコのアトリエも、パリでの野外展示もなかった訳で、人の人生はどこからどうなるか分からないものだ。

存命中の画家をドキュメントする映画としては、なかなかの出来だったと思う。
生出演で彼の作風を絶賛する評論家もあり、
かたや歯に衣着せずに「ボテロは醜悪なお菓子のマスコットキャラクターだ」と厳しく批判する識者もあり、取材は公平。

そして何よりも本人にその作風の誕生のきっかけを直接訊けるのが、この映画のいいところだったと思う。

・マンドリンの穴を小さく描いてみたらマンドリンが膨らみ始めた
・そのモデルの強いところを描くとこうなる
・時代錯誤の具象画だとの批判を読むのは耐えられず避けた
・自分でも自作の作風について分析し考えてみた
なるほどだ。
鑑賞者が知りたかったことをインタビューしてくれてある。

でも幼い息子さんの絵だけは、あまり膨らまずに小さく縮まっていくように、見えた。

・・・・・・・・・・・・・

たっぷりの丸い柑橘類を盛ったお皿の絵。あれは楽しくてずっと観ていたいと思った一枚でしたね。
昨年名古屋で「ボテロ展」があったので行ってみたかったが、残念!機会を逃した。

近所の映画館、塩尻の東座では上映に先駆けて美術評論家の講演会もあったそうで、レジュメを頂きました。

1度見たら忘れられないボテロです。
彫刻も たっぷりのブロンズを使っています。

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きりん

4.5愛すべき人が作る愛すべき作品

2022年6月18日
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誰が見てもその人が作者だと分かる圧倒的な個性なのだが、ボテロという人の愛すべき人格がどこから生じたか教えてくれる映画である。自分は父を幼い時に失いながら、子から孫へと家族を増やし、皆がボテロを尊敬して助けているし、祖国に作品や美術館を寄付している。南米から出て欧州で自分の個性を作りながら、今も欧州にアトリエを持つのだが、メキシコの影響もイタリアの影響もあって、ユニークなのにどこか王道の感じもある作品が作られたことに感受性の豊かさを感じる。商業的だとか言われる批判も寄せつけない、万人に開かれた分かりやすさ、大らかさ、気安さも良い。つまりは愛すべき人が作る愛すべき作品なのだと理解できるのだ。

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Boncompagno da Tacaoca

3.0 シンデレラ

2022年5月7日
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 フェルナンド・ボテロの絵画はインパクトありすぎて 一度みたら忘れられないので、ボテロ展を見る前に‥と思って見たのだが、映画の前半は寝てしまった😩
 昼食後だったからか、つまらなかったからか‥

 後半だけの感想。
世界的に有名になるーという意思があり、自己顕示欲が強い人なんだなーと思えた。だからこそMETで運良く成功を収めてから色々な国で代々に展覧会をやり、名を広めていき財をなし、コロンビアに美術館を二つも建て、自分はモナコに住んでいる。

 確かに、彼の絵はとても独創的で、忘れがたい。しかも映画で見る限り、どれも非常に大きなサイズの絵画ばかり。購入者は 大きな屋敷の持ち主か美術館なのかなーと思ってしまった。

 絵画で成功するってすごいと思った。現代のシンデレラストーリーって感じ。

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はなも

4.0早く渋谷で実物を見たい

2022年5月7日
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鑑賞方法:映画館

町山さんの解説を聞いてから映画を見たり、山田五郎さんの解説を見てから絵を鑑賞すると、作品の背景を知ることにより味わい深くなります。

このドキュメンタリーを見ちゃうと先に、背景を知ることになりますが。

ボテロの絵はどこかで見たことがあるのだけど、コロンビア人に有名な芸術家がいたなんて知りませんでした。
コロンビア人であるから、まず、スペインに渡り(おそらくスペイン語だから)、イタリア、フランス、ニューヨーク、あとメキシコに渡り、作品が進化していく。初めからパリに生まれていれば、こうはならなかったでしょう。

初期の作品は、よくあることですが、全く作風が違いますが、とても味わい深いです。私は素人ですが、いろんな時代のピカソの影響を受けていると思いました。

ボテロの家族が、子供たちを中心にたくさん出てきますが、基本的には親戚付き合いがあって、揉めてなさそうで良かったです。
アーティストの話では、酒・女・薬・借金で家族が崩壊する話が多いので(それはそれで、面白かったりしますが。)。

渋谷のBunkamuraでボテロ展をやっているわけですが、現物をますます見たくなりました。
どの世代のものが展示してあるかはわかりませんが。
そんなわけで、最近はお金がかかりますが、音声解説は借りるようにしています。

日本の駅前とかには、なぜだか裸婦のブロンズ像が謎のポーズをとっているのがおかれていたりしますが、公共空間にもっと多彩なアートが置かれて入れも良いのでは無いかと思いました。

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Lhowon

4.0ドキュメンタリー

2022年5月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ボテロさん、スゴい人なんですね!
知りませんでした。
考え方が、素晴らしいです。

ちょうど、ボテロ展もやっていたので、後で観賞しました。
絵を近くで見ると、迫力があります!

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かん

4.0この絵にピンときたら

2022年5月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

観て損しないと思う。
スペイン出身と途中まで思っていたけれど、コロンビアだった。私もそれくらい何も知らなかった。彼のただ絵を描くことに捧げられた人生が、時には大きな悲しみがありつつも、その絵のように豊かで明るく満ち足りたものであることを喜びたいと思えた。

与えることは人生を豊かにする小さなヒントだと感じた。

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Momoko

4.0成功しても成功しなくても

2022年5月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

フェルナンド・ボテロさん、恥ずかしながら、初めて知りました。とても印象的な絵画でしたので、ボテロ展にも行きたくなりました。

イタリアフィレンツェで「ふくよかさ」を意識しだしたボテロ。「ふくよかさ」と言えば、フェリーニもそうですよね。少し前までは、「ふくよかさ」は、美しさの象徴だったはず。現代の痩身願望は、ファッション業界とマスコミによって作られたものでしょ?など、考えてしまいました。

暴力の時代と言われたコロンビアの時代背景と息子の死が、ボテロに多大な影響を与えていました。映画を観ていていつも思うのが、人権弾圧というのは、本当に恐ろしいことだということ。だから、表現者は何かしらの形で抗議し作品にするのだと思います。

「成功しても成功しなくても絵を描く」と話したボテロ。私は、心身共に捧げられるものはあるかな?

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ミカ

5.0可もなく不可もなく。音楽映画ならぬ「美術映画」?

2022年5月1日
PCから投稿

今年124本目(合計398本目/今月(2022年5月度)1本目)。

さて、こちらの作品。大阪市ではシネリーブル梅田さんで観賞しました。

現在も生きている芸術家で、その生まれから現在(現在(2022年)も元気にいらっしゃるとのこと)までを描くドキュメンタリーです。映画館でやってれば映画でしょというのはそうですが、「どちらかというと」、市立美術館などで美術館などが15分とか20分で流している「画家紹介」などのDVDビデオ(事前にプログラム化されていて、ずっと流れ続ける)に近い作りです。
そのため、「映画館」でやっている「映画」の割にはびっくりしたり驚いたり笑ったりという要素はないも同然です(あるほうがおかしい)。

彼の生まれた「メデジン」(映画内でも明示される)は、知っておいたほうが良いかな…という印象です。コロンビア第二の都市で人口260万人ほど(2020年データ)そこそこ大きな都市です。ただ現在はそうであるだけで、彼の生まれた年(幼児期のころ)はもっと少なかったと思われます。

この映画はドキュメンタリー映画であり、「ミステリーもの」ではありませんが、彼がなぜに「ふくよかな絵」ばかりをようになったのか?という点については公式にもヒントがあります。メデジンで生まれ育った彼は中高時代に「闘牛」に興味を持っていたことがあるのですが、これに少し関係してきます(これが全てではない。詳細は本編参照)。

実質、映画の大半が「彼の生い立ちから今に至るまでのドキュメンタリー映画」という側面がありますので、あることないことレビューできませんし、「あること」であっても、書きすぎると著作権上好ましくない(映画館に行く意味を失ってしまう)点を考えると、どこまで書くか…というのが難しいです。

本映画が一般指定である(PG12以上でもない)ことも踏まえ、下記のように採点しました。

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(減点0.1)
 史実通りに描写されますので、彼がアブグレイブ刑務所(収容所)の捕虜の取り扱いについて抗議し絵画を作り、ほぼ無償で美術館などに寄付したこと、それ自体は事実で、このことは映画内でも触れられます。

 ただ、アメリカのアブグレイブ刑務所(収容所)の捕虜の扱いはグアンタナモ基地のそれと同じく人権意識が無茶苦茶であり、映画内でも「あることないこと書けない」ため、そのまま描かれています。そのため、一般指定(PG12以上ではない、ということ)で見に行くと、やや気分を害するかな…という部分が「一応」あります。

 ただ、ボテロが「すき好んで」こういう絵を描いたのではないのは明らかだし、究極はアメリカの人権意識のなさ(への抗議)という部分につきることは映画内でも明確に述べられていますし、「やや配慮がないかな」という部分はありますが、「あることないこと描けない」「そもそも本人(ポテロ)の問題ではない」という点を考えると、引いても0.1ではないかという印象です。
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 ※(日本では)第二の都市と言われる大阪市と違い、東京都では今、ポテロ展というのをやっているとのことです(5/1時点)。大阪市も第二の都市なんですけどねぇ。

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yukispica

2.5争いを好まぬ美術界のゴッドファーザー

2022年2月11日
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鑑賞方法:試写会

単純

幸せ

ぽっちゃりな画風“ボテリズム”で知られる芸術家、フェルナンド・ボテロの魅力に迫る。
「なぜボテロは、ふくよかな絵を描くのか?」と、世界各国で幾度となく受けてきたであろうこの質問については、劇中でも本人が答えているものの、実はそれすらも明確に断言した回答ではない。でも一つ、「重厚感にこだわった絵を描くのは、おそらく父親像を追い求めているからだと思う」というのは、彼の生い立ちに大いに関係する。彼が理想の父親像になれたのかは終盤で分かるが、まさしくその姿は“ゴッドファーザー”ヴィトー・コルレオーネだ。
ただ、こちらのゴッドファーザーは争い事を好まない。それは生まれ育ったコロンビアのメデジンが、麻薬カルテルや紛争が絶えない混沌とした町だった事も無縁ではない。だから彼は時として多幸感溢れ、時として痛烈な平和へのメッセージを込めた作品を発表する。
絵を描く事について、つい最近リバイバル公開された『クラム』の漫画家ロバート・クラムとダブるのも面白い。

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regency