「我が思い出の映画のミュージカル作品」シラノ でゑさんの映画レビュー(感想・評価)
我が思い出の映画のミュージカル作品
大昔、今から35年以上前にジェラール・ドパルデュー主演で同じ作品を映画化している。
この映画こそ我が映画史に残る第一位の作品と言ってもよい作品だった。
その「シラノ・ド・ベルジュラック」をミュージカル仕立てにしたのがこの作品。
ただ幾らか違うところもあって元々原作のシラノは鼻が巨大で
それが容姿のコンプレックスになっていると言う設定だった。
今作のシラノは鼻が巨大ではなく所謂小人症で
それが容姿のコンプレックスになっていると言う事。
あと昔の作品は基本的には原作の戯曲に忠実で
英語ではなくてフランス語で作られていた違いがある。
意外とこの違いは大きくマトリックス リローデッドのメロビンジアンの台詞を思い出す。
「フランス語はお気に入りだ。特に、相手をののしる言葉がね。まるでシルクで尻を拭くかのようだ」
まさにこの通り。
即物的な表現の多い英語では原作のもつ流麗さを表現しきれてない感じがする。
その点がマイナスだけど基本的にはストーリーはほぼ同じ。
物語自体がよく出来ているから
基本的には昔通り泣けた。
ただ戯曲にはある台詞がバッサリ無くなっていたりするのが少々残念かな?
シラノは毒舌家で有名だから敵も多かった。
だから修道院に向かう道すがら建物の上から木材を落とされ
それが頭に当たり致命傷になっているのだが
それが描かれてない。
だから死ぬ間際が唐突な感じがする。
あと本当はロクサーヌが「私が愛していたのはシラノだったのね?」と来られた時
本当は「違うんだロクサーヌ。」と最後の最後までシラノは打ち明けなかった。
何故ならそれはクリスチャンに義理を果たすためなのだが
今回その下りは最後の最後に「私が愛したのは誇りだ。」と一言で済ましている。
いやー違うよ!ここが最大の泣きどころなんだからさー。
もっとちゃんとやってくれよ!と思う。
昔の映画では最後の最後までロクサーヌに愛してるとは言わず
もちろんキスシーンも無し
「天に熨斗つけて傷ひとつない私のハートを返す。」と言う言葉でシラノは絶命する。
そこが良くてもう涙ドバドバ出て
それか流麗なフランス語と相まって堪らないのだけど
その点はちょっと今回残念かなあと思う。
いや泣けたは泣けたから悪くはないと思うけど
もうちょっと細部に凝って欲しかったなあと思う。
まあそう言うのは今の時代ではないんでしょう。
できれば昔のジェラール・ドパルデュー主演の「シラノ・ド・ベルジュラック」を見て欲しい。
ああそうそう。
ロクサーヌの配役だけど昔の映画は
アンヌ・ブロシェという女優さんで本当に息を呑むほどの美しさだった。
今回のロクサーヌはヘイリー・ベネットと言う人で
綺麗と言うより天真爛漫な可愛さのある人だった。
なんか昔の加護愛に似てるなと思った。
どちらがお好みかはいろいろあると思うけど
今回の方がより現代的かなとは思う。
まあでも昔ほどではないけど泣けました。
シラノは原作がよく出来てるんで
なんだかんだで名作だと思います。
昔の映画が5点満点だから一点引いて4点と言う評価ですね^_^
そうですかー!やっぱりフランス語(できないけど)で聞きたかった戯曲ですし、オリジナルとずいぶん離れていることわかりました。詳しいレビュー有り難く読みました!