「初見なのに既視感と親近感が湧く不思議体験」バズ・ライトイヤー @花/王様のねこさんの映画レビュー(感想・評価)
初見なのに既視感と親近感が湧く不思議体験
アンディが夢中になったSF映画という位置付け。
トイ・ストーリーの作中でアンディがバズやウッディと遊ぶので、大体の大筋は予想できる。
30代でトイ・ストーリー世代なので、本作を見る前に鑑賞している人は多いのでないだろうか?
この作品からトイ・ストーリーを観る世代もいるのかと思うと感慨深い。
映画と言うコンテンツの面白さが感じられる作品に仕上がっていると思う。
アメリカ版、日本語版ともに声優が交代になり、トイ・ストーリーでバズの声を担当していたティム・アレンが「トイストーリーのバズとは別物だ!」と批評していたのは記憶に新しい。
そりゃあ、今をときめくクリス・エヴァンスに取って代わられたら文句の一つも言いたくなるだろうが、個人的には声優の交代はありだったと思う。
なぜならティム・アレンが言うように、今作はトイ・ストーリーの本作とは関係のない話だからだ。
バズ・ライトイヤーの単体の話として、あくまでアンディが幼心に夢中になったSF作品と言う位置付けなのだ。
生みの親であり、バズの顔のモデルとなったジョン・ラセターでさえ、セクハラにより会社を辞めさせられたので今作のバズにラセターの造形は見る影もない。
顔も違うのに、声だけ同じでは違和感が残る。
やはり顔面に合った声を起用したのだな〜と納得してしまう。(悪口ではない。)
ストーリーはだいたい予想をして鑑賞したが、見事に裏切られた。
母星に帰還する道すがら、寄った星で起こるアクシデント。対処したバズが処理できず、惑星に定住を余儀なくされる。
トイ・ストーリーの中で語られるバズはしっかり者でスペースレンジャーとして仲間を率いるリーダーシップのあるキャラクターだったので、孤立し自分の過ちを正そうとする姿が描かれたことが意外だった。
かつての同志は家族を持ち、人々の考えも年月と共に妥協を覚え、安住の地を作り上げていこうと前向きな姿勢を見せるのに対して、バズは過去に囚われ、自分を罰するかの如くエネルギーテストを繰り返す。
また、ラスボスが並行世界の自分自身と言うのも面白い設定だった。
メタ的に見てしまえば、旧ラセターが自身の過ちを無かったことにできる世界線を探しているザーグ。
バズは自身の過ちを認め、反省する、新しい安住の地を手に入れるピクサースタジオ。
ラセターvs新ピクサー
と言った図式が見え隠れしていたように感じました。
過ぎてしまった過ちを生産し、新しい未来を切り拓くんだ!
そのためには、新しい風、新しいキャラクター、新しい世界観を持ったアニメーションを構築していく必要があった。
ただ、それは旧ラセターの作ったトイ・ストーリーを観て育った世代、あるいはトイ・ストーリーのバズを好きだと憧れた世代の方々には受け入れがたいキャラクター変更、進路変更だったのではないかな。とも感じました。
今までも新しいことに常に前向きに挑戦し続けてきたピクサーアニメーション。
物語の終わりには次に繋がるような演出もありましたので、次回作ではリトルグリーンメンが登場することに期待しながら新作を待ちたいと思います。
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