「ザーグの気持ちも分かるというのが」バズ・ライトイヤー 森林熊さんの映画レビュー(感想・評価)
ザーグの気持ちも分かるというのが
序盤の感想は割愛。自分のミスで多くの人の運命を歪めてしまったと思っているバズ。ここまでは未来のバズも現在のバズも同じなのだが、イジーとの出会いによってこの惑星で暮らすことになったアリーシャの人生にも意味があると思い始める。その差によって二人のバズは食い違い、戦闘になってしまう。そしておそらく半世紀近く共にしたソックスの裏切りにより、ザーグは心が壊れてしまうだろう。なおさら過去に戻りたいと思い、宇宙船が壊れてもクリスタルを求めてバズに襲い掛かる。
しかしこの作品の設定ではあくまでパラレルワールドが出来るような感じなので、爺さんになったバズはそのままだし、仮に戻ったとしても3人のバズが勢揃いするだけだろう。それでも救いを求めるザーグの気持ちは分かってしまうというのが悲しいところ。幾度となく悪夢に魘され、宇宙でソックスと二人きりの孤独に耐えた末に到達した救いなのだ。子供ではそこまで推し量れないだろうし、大人が見ても面白いと思える点である。
個人的に一番衝撃だったのはザーグに踏み潰されてしまった未来ソックスである。彼にも救いが欲しかった。結局過去と未来のソックスは出会うことなく、バズが振り返ることも無かったのが悲しいところだ。それにしてもソックス凄過ぎないか?クリスタル精製の計算やらライトセイバーみたいなものまで取り出していた。一体何を想定して作られたロボットなのだろうか。
まぁ他にもツッコミどころは割と満載である。1年で割と凄まじい開拓を成し遂げたのに、その後60年ぐらいの進歩があまりにも遅い。というか、情緒を安定させるための猫型友だちロボットが計算出来たことを科学者たちが計算出来なかったというのはさすがにどうなんだ?あと、最後のテスト航行で浦島効果により20年以上も経っているというのが地味に酷い。初っ端4年後になっていたことにさえバズは困惑していたのに、仮に一発目のテスト航行で成功していたら一気に20年後である。説明されてもバズはやっていただろうが、説明一切なしでそれはさすがに酷過ぎる。
大気圏突入シーンはいくらなんでもそりゃ無理だろという助かり方だった。あと、バーンサイド中佐の変わり身も割と謎である。ザーグを倒した英雄ではあるものの、お咎め一切無しというのもどうなんだろうか。最終的にスペース・レンジャーが復活して話は終わるが、続編「ザーグの逆襲」を示唆する感じだった。
最後に言いたいことは、いい加減ポリコレ配慮辞めろ。もうレズビアンカップルもホモカップルも腹いっぱいだ。子供向けの映画にまでそんな要素をぶち込んで欲しくない。どうしても入れたかったら背景みたいな脇役で男同士、女同士で腕でも組んで歩かせといて欲しい。