劇場公開日 2022年8月6日

「Adoのミュージカル・ステージ」ONE PIECE FILM RED bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5Adoのミュージカル・ステージ

2023年3月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ONE PIECEは、アニメ化された当時に子供たちが観ていたのを、少し垣間見た程度。内容やキャラクターもあまり知らないが、昨年あれだけ話題になった作品が、Amazon primeで、早くも配信されたので、鑑賞。

まず、本作の率直な印象は、これまで自分が抱いていたONE PIECEの内容やイメージとは、大きく違うものだった。内容的にも、ルフィーと麦藁の仲間達は、主人公というよりは、歌姫ウタの助演に徹していた。そこに、ウタの歌唱を担当するAdoの歌声が、ストーリーに合わせたミュージカル仕立てで流れ、展開していく。もちろん本編とは違う劇場版であるからこその、大胆な創り方ではあったのかもしれないが…。

クライマックスは、メタバースの空間と現実の狭間の中で、対峙していくウタとルフィー達だが、そのメタバースの描写については、細田守作品によく似た描写であったように感じたのは自分だけだったろうか…?あまり、ONE PIECEに寄り添ってはこなかった者が言うのも何だが、ONE PIECEのファンからしたら、この作品はどう映ったのかは気になる内容だった。

本作のテーマの基盤には、ウタが目指していた、「誰もが自由で、幸せ人なる世界の実現」が、あるのだろう。しかし、その裏にはウタ自身が抱えていた心の闇があり、それを正義と信じ、世界中を巻き込み、自爆とも思える最後の切り札を発動していしまうストーリー。そんな内容は、現在の壊れかけてきた世界情勢への警鐘を鳴らしていると、感じることもできた。

それにしても、本作の魅力は、やはりAdoの楽曲にあるだろう。ストーリーの展開と共に流れるAdoの歌声は、それだけで聴く人を魅了させ、類稀なる歌声であることは間違いない。実は、映画は観てなかったが、アルバムは以前から車の中でよく聴いていた。改めて、歌が流れたシーンを思い浮かべながら、聴いてみたいと思う。

bunmei21