「ワンピースを全く知らない男のレビュー」ONE PIECE FILM RED といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
ワンピースを全く知らない男のレビュー
ワンピースの漫画は一度も読んだことがありません。
アニメはアーロン編から空島編までは観ていましたが、私の住むアニメ過疎地の秋田県では空島編あたりでアニメ放送が終了してしまったので、それ以降のストーリーは全く把握していません。麦わら海賊団に全く知らないキャラクターが3人くらいいてビビりました。
そんなワンピースにほぼ無知の状態で映画を鑑賞した私の感想ですが、これが意外にも楽しめました。ただ、不満点もかなり多い作品だったので、その不満点がどこまで許容できるかで映画の評価が変わってくる作品に思いました。
原作のファンであれば盛り上がるであろう、本来対立関係にあるキャラクター達の共闘などの描写が多く、私の原作知識の無さが勿体なく感じるシーンが多々ありましたね。作品の知識がある前提の描写は長寿アニメ劇場版の宿命みたいなもんなので、「ワンピース初心者に優しくない」と言うつもりは毛頭ありません。知らずに観に行った奴が悪い。
しかし原作を知らなくてもストーリーは盛り上がるしAdoの歌は良い。知識が無くても楽しめるエンタメ作品としては最上級のクオリティに仕上がっています。公開から一か月以上経っても興収ランキング上位に君臨しているのには、それなりの理由があります。
文句言いたい部分も多少あるけど、間違いなく映画館で観る価値のある映画でした。
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世界中で人気を博している奇跡の歌姫ウタ(名塚佳織/Ado)。彼女が初めて人前で歌を披露するライブが開かれるということで、世界中のファンが会場に詰めかける。ルフィ(田中真弓)率いる麦わら海賊団もまた、彼女の歌声を聴くために会場に足を運ぶのだが、その会場には観客の中にはウタを狙う海賊や何かに警戒する海軍が潜んでいた。いざライブが開始され会場は熱気に包まれるが、ウタがルフィと旧知の仲であり、そして彼女が伝説の海賊シャンクス(池田秀一)の娘であることが明かされることで、事態が急変する。
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まず本作の良かったところを挙げます。
ストーリーは良かったと思います。原作ファンがどう感じたかはわかりかねますが、ワンピース初心者である私にとっては非常に楽しめました。ウタとルフィ、そしてウタとシャンクスの関係性がしっかり描かれていて、知識のない私でも楽しんで鑑賞することができました。原作では(多分)敵対関係にある様々な能力者が、ラストのバトルでは一致団結して強大な敵に立ち向かうのは私が観てもテンションが上がりました。
次に、Adoの歌も良かったです。
歌の好みは人によってまちまちなので、これはあくまでAdoファンである私個人の評価になりますが、劇中のAdoの歌唱はどの曲も素晴らしかったと思います。こういう歌唱シーンのある映画は映画館の大音響で感じてこそ映えるものですので、映画館で鑑賞することができて良かったと思います。
ここからは不満点を並べます。本作を楽しんで鑑賞した方は読み飛ばしてください。
私は戦闘シーンに回想挟み込む映画は嫌いです。ウタとルフィの戦闘シーン。何度も何度も挟み込まれる過去回想。戦闘シーンはテンポがかなり大事だと思うのですが、回想挟み込みすぎでめちゃくちゃテンポが悪いように感じました。そういえば大ヒットした鬼を滅するアニメ映画もそんな感じの作品ですよね。最近の流行りなのか知りませんけど、私は戦闘シーンに回想挟むのは止めてほしいです。
次に、アクションシーンがめちゃくちゃ見づらい。
無駄にアングルが動いたり無駄にキャラクターの顔アップが多かったり。アクションシーンは本作の肝とも呼べるシーンなのに、何が行われているのか今一つ分からないごちゃごちゃした構図ばかりなのが非常に不満です。原作ファンの方は各キャラの能力について知っているから理解できるのかもしれませんが、私はほとんどのキャラクターの能力が分からないので、戦闘シーンは何が何だかさっぱりでした。
そしてミュージカルシーン。
昨今、ミュージカルアニメーション作品が増えている気がしています。ディズニーやピクサーもそうですし、日本のアニメ映画でも素晴らしいミュージカル映画がいくつもあります。それらの作品は、キャラクターの口の動きや手拍子などを楽曲と完全に合致させているため、観ていて気持ちがいいんです。しかし本作、イマイチその辺が適当な作画になっている気がします。リップシンクやハンドクラップのタイミングがアニメと音楽でズレていたりして違和感があるんですよね。
3Dキャラの映像を流すシーンが多かったのも個人的には不満です。
平面的なアニメーションと3DCGは相性が悪く、どうしても3DCGが浮いているように見えます。せっかくの歌唱シーンの美麗なアニメーションの中に3Dのウタがいるとどこか歪に見えるんですよね。昨今ではアニメーションで完璧な作画のミュージカルシーンを描いてくれるアニメ映画が当たり前にあります。ミュージカルめっちゃ動くのが当たり前になってきている現代アニメ映画において、本作のウタのライブシーンは3Dばっかりで「手ぇ抜いてんのか」って感じでした。
まぁ、つらつらと不満点を述べてきましたが、不満もありつつ十分面白くて満足で映画館を後にできる映画でしたね。良かったです。オススメです。