「深く理解するほどに面白い。天才と天才が組み合わされば最高の作品ができる。」ONE PIECE FILM RED さとくばんさんの映画レビュー(感想・評価)
深く理解するほどに面白い。天才と天才が組み合わされば最高の作品ができる。
正直、見る前は商売重視で人気者を集めた駄作かと思っていましたが、違いました。
初めの曲が少し長かったため劇中のみでは説明不足な部分もありましたが、中盤からはテンポも良く十分理解できましたし、40億巻や小説版、歌詞などを踏まえるとウタの心情などもよく分かり、良いストーリーだと思いました。
評価を下げたポイントは劇中のみでの説明の不足です。行間を読んで観れる人なら十分楽しめますが、映画だけでは納得しきれない部分も残ってしまうのも事実だと思います。
よく分からなかった部分があった方は、考察動画などを見ると40億巻の情報や小説版なども踏まえた見方がよく分かるので見たほうがいいかもしれません。
はっきり言って、今の麦わらの一味は強すぎるため勝てない敵がほぼいないので、今回の敵を考えるのは難しかったと思いますが、悪魔の実の能力で納得感のある強さになっていて素晴らしいと思いました。
ホビホビの実などチート級の悪魔の実は他にもあるので、あれぐらい強い実があってもいいと思います。
ワンピースファンとしても、赤髪海賊団の戦闘シーンや人物像がある程度垣間見れましたし、本編に繋がる伏線があったため、満足する内容でした。
その他多数のキャラの出演やギア5のチラ見せ、ウソップとヤソップの見聞色ごしの絡みが映画で描かれたことは気になる人もいるかもしれませんが、映画というパラレルワールドのファンサービスなのでそこを低評価ポイントにするのはナンセンスではないでしょうか。それにウソップとヤソップは会ってはいないので本編にも大して影響はありません。
声優やキャラのイメージと異なるadoさんが起用された意味も映画を見ると分かりますし、声質の違いも、映画館で見た限り、私は違和感なく楽しめました。
曲自体も映画を観た後になると歌詞の意味がよく分かって来るので、それを踏まえてもう一度見たくなる作品でした。
ちなみに、ウタの心情は、ウタは、「私の歌で幸せになって」という承認欲求よりも、曲の中で歌われているように、「一緒に逃げよう」というイメージ。
シャンクスが財宝のためにエレジアを滅ぼし、自分を騙して捨てていったと思っていて、他にも海賊で苦しむ人々の思いを知っていくうちに海賊全体への恨みへと昇華していった。
人々も、海賊に苦しめられる中でウタウタの力で自分達に幸せな気持ちをくれるウタを救世主として崇めていった。
真実を知った後、エレジアを滅ぼしてしまった自責の念や、赤紙海賊団としてのアイデンティティも失い、今更戻ることもできないことから耐えられなくなったウタは、人々の思いを受け止めて人々を救うと同時に自分も現実から目を背けて逃げてしまいたいと思った。
しかし、そのやり方を誤り、暴走し、ネズキノコの副作用もあり、精神がどんどん崩れていってしまった。
という感じでしょうか。