「ラスト」ONE PIECE FILM RED よっちゃんイカさんの映画レビュー(感想・評価)
ラスト
原作未読、フィルムゴールドは観たけど映画の記憶はほとんどない。
映画.comで酷評の嵐だったのでどんなメチャクチャな映画なのかと覚悟して行ったが途中までは意外と観れた。
が、あらためてみなさんのレビューを見て意外と見れたのは自分がワンピースのファンじゃないからかなぁと思った。
まずおもしろかった点としてはウタの人物造形。
元々はシャンクスを慕っていてルフィとも仲が良かったが、ある事件から海賊を否定し、新世界へ皆を導こうとしている。
それはさながら新興宗教の教祖のよう。
原作で海賊達の被害に遭った人々を描いたことがあるのかどうかはわからないが、海賊に恨みを持つ人も一定数いるよなと思ったし何かに救いを求める人々もいるだろうなと思った。
そんなウタが次第に暴走していく様は黒岩さんらしくよく描けている
前半最大の問題点はウタの戦闘シーンの作画のごちゃごちゃさだと思う。
なんか色々ごちゃごちゃしててとにかく見づらい。
ライブというよりMVのよう、それもかなり見づらい。
が、この点さえ除けば前半のストーリーはなんとなくわかる。
そしてこのまま暴走するウタをルフィとシャンクスが説得する展開になるんだろうなと思っていた。
が、後半色々な設定が不協和音を奏で始める。
まず、ウタがウタウタの実を食べたのがシャンクスと別れる前という設定。
というかウタウタの実の設定がよくわからない。
その能力者の歌を聴くと心を奪われて夢の世界(ウタワールド)へと連れていかれる。
能力者が寝るとそのウタワールドから帰ってこれる。
僕はウタウタの実の能力をこんなふうに理解したのだが、だとするとウタがエレジアで最初に歌を歌った時に観客がなぜ寝なかったのかが気になる。
後、ルフィが子供の頃はウタの歌を聴くとなぜか途中で寝てしまうと言っていたが、ライブでは観客は自然とウタワールドに行き、いつの間にか寝ていたという感覚を感じてる描写はない。
これだけ矛盾?点が出てきて見ながら頭が混乱した。
が、これは僕の理解力がないだけorワンピースの映画にそんな理屈を持ち込むのは野暮だとしても、まだ納得できない事がある。
他の方も指摘していたが、ウタがエレジアを滅ぼした張本人だと言う事。
この事実自体は衝撃的でこっち方面にストーリーを持っていくしかないよなと思ったが・・・その事実をウタが知ってしまってるのだ。
いやいやいやいやいやいやいや。
そこは純粋に知らなかったで良くない?
その心の動揺からルフィが心の扉をこじ開けてウタを説得するとか、逆にウタの暴走がさらに加速してしまうとか知らない方が色々な面で良かったと思うんだが・・・
さらにウタとの最終決戦の流れもくどい。
決戦開始→ウタの説得→シャンクス登場→エレジア滅亡の真実→魔王登場→赤髪海賊団と麦わら海賊団の共闘→魔王消滅→ウタの世界に取り残された人々→ウタの歌でみんな無事に帰ってくる
魔王が登場するのは、ウタというキャラクターの特性上ルフィが殴る蹴るのバトルをできないから代替ラスボスとして登場させる必要があるのはわかる。
けど、魔王が消滅した後みんながウタの世界に残される展開は蛇足としか思えない。
いや、おそらくウタの見せ場と、ウタの歌の正しい使われ方を示すという点でも見せたかったのはわかるが、魔王に取り込まれる云々のフリが事前になかったから唐突に放り込まれた印象が拭えなかった。
自分としてはルフィが必殺技を放って魔王を倒した時点でもう戦闘は終わってエンディング気分だった。
更に、最後ウタが死亡するのは絶望しかなかった。
いや、正確に言うと匂わせがあってその後Twitter等々を見るとどうやら死亡してるらしいというだけなので断定はできないのだが、もし本当にウタが死亡してるなら希望も救いも何もないし、折角なら赤髪海賊団に加入というか戻れば良かったのにと思った。
もちろん一定数のファンからブーイングを受けるかもしれないが、そこを恐れて結局作品自体がファンから大ブーイングされてしまっては元も子もないのでは・・・
シャンクスの娘でルフィの幼馴染という原作にも深く関われるキャラクターをせっかく作ったのならアニメ映画から原作に逆輸入すればいいのにと思った。
原作者の尾田栄一郎先生が総合プロデューサーを務めてるのだからそれぐらいやっても良かったのでは・・・
と原作読んだ事がない者が言っても「お前が言うな」状態だろうが。
原作への逆輸入云々は置いといても殺すに惜しいキャラだと思う。
宣伝でも「Adoさんが歌います!」と言いすぎたせいでAdoさんの歌もすごいくどく感じた。
Adoさん自体は素晴らしいのだが、宣伝とか色々な事から一部のファンからヘイトを買ってしまってるのは誰も得しない最悪の所業だと思う。