「低評価に騙されるな。ある意味過去最高。」ONE PIECE FILM RED 木瀬聡輝さんの映画レビュー(感想・評価)
低評価に騙されるな。ある意味過去最高。
ワンピースの映画中で一番かも知れない。そもそもどの立ち位置見るかで変わる。今までのノリの映画とは一線画す映画です。正直リピートしたい人はリピートしたくなります。自分もリピートしたいと思ってます。
なにが、そうさせるのか?理由は単純で、少年の映画、子供向けの映画ではないからです。今回のワンピースはワンピースの持つダーク面が主に出ており、主人公であるルフィが結果的に主人公として何もできなかった無力感を感じる映画です。
前半は正直、音楽演出が長く感じました。進みが遅くテンポが悪く感じます。しかし、進むにつれ、そのテンポ悪さが気持ち悪さが、違和感と怖さに変わります。
後半は圧倒的に楽しいバトルシーンであります。ラスボスであるとウタと戦い勝ちますが、ルフィが勝つ負ける関係無く、結果的にウタは死にます。主人公の幼なじみであり、あんなに自分の船に音楽家を固執したルフィの根底がウタにあるとしたら、やるせないとても悲しい物語です。ここら辺が賛否の否になる部分ではないでしょうか?単純に面白く感じない。ウタの歌演出前半がくどい。わかる部分ではありますが、正直、しっかり見れば楽しめると思います。でも、単純に爽快、気持ちいい、頭ポカーンが良い人はつまらなく感じると思います。逆に監督作品のコードギアスやリヴァイアスが好きな人は面白いと感じると思います。
シャンクスと別れるきっかけとなる楽譜により、ウタは悪魔の能力で魔神を蘇らせました。魔神の力で島の住人は王以外全てウタの能力によって蘇った魔神によって全員皆殺しになりました。さらっとワンピースのノリで見てるとふーんとなりますが、よくよく考えると壮絶な事です。深刻な描写が無いから本当にわかる大人以外は理解が及んでいないんだと思います。そしてウタは自分のやった事とシャンクスへの想い、罪悪感や孤独感、そしてファンからの期待感などなど様々な感情から歪んでしまいます。そして、ラストに自分の命が助かる薬を拒み、最後の力で皆んな元の世界に戻し、自分の命を断つ事を選択します。
薬を後から飲めば良いのに、そうせず薬瓶を投げ捨て割ります。何故そうするかは、今後の状況や自分のやった事など過去と現在も合わせた罪への清算。分かる人はこれぐらい汲み取れます。しかし、アニメ内でのウタの心情説明は全くありません。だから分からない人には何が面白いのか分からないかも知れません。
ラストにはルフィの名台詞「俺は海賊王になる!」
正直、サイコにも見えるシーンですがルフィの複雑な心情が読み取れます。
今までの映画で一番感慨深い作品なのは間違い無いです。だからでしょう。
合わない人には合わない。そんな作品です。頭が回る、考察が好き。賢い人、精神が大人な人は多分好きになると思います。逆に頭空っぽにして、毎回お決まりのルフィ達の活躍する映画を見たい人、精神キッズは面白くないと思います。
※ちなみに特典40億巻は読んでません。全ての人がもらえるとは思わないで下さい。あくまでもそう読み取れるという話です。そういう読んでるであろう前提に言うキッズがいるのでわざわざ書きます。
※8/15日 2回目観てきました。一回目より楽しかったですし。気付く場面が増えました。やっぱ、一番良い出来です。やっぱり批判してる人は、精神キッズだなと理解できました。何故ならウタ自体が年齢の割に精神の成長できなかった子供だからです。そして、ゴードン良い人ですが、ウタにとって残酷な事をしてます。けど、ずっとそばに居てあげたゴードン。ウタがやっぱ不憫だわ。このヒロイン色んな意味で最強やわ。今後、何があってもルフィの背後にウタが出てくる。ってか、第一巻から今日までウタの影出てくるね。すげーヒロインやわ。
※監督がパラレル設定じゃない発言で、どこかのストーリーの流れに入り込む内容なのかもしれません。ヤマトも仲間になってないし。どのタイミングだろうか。
ってかホントこれがワンピースなんだよな。やっぱ徳弘正也の弟子である。おだっちが作る作品。本当に天才が天才を育てた感が凄くある。