「音楽映画としてのワンピース」ONE PIECE FILM RED ELLEさんの映画レビュー(感想・評価)
音楽映画としてのワンピース
ネタバレはないので安心してください。
歌を歌として歌ってることから、ミュージカルではなく音楽映画です。
音楽映画の醍醐味は、歌詞の内容や曲のテーマがキャラの心情とマッチしているかどうかと、曲が映画の盛り上がりを直接コントロールできるツールであり、その役割を果たせているかどうかです。
好きか嫌いかでいうと自分は好みの作品でした。
音楽映画としての出来はよかったと思います。
7曲全て別々のアーティストが仕上げているということもあり、聴き味がどれも違う、それでいながらUTAの曲としてadoの歌声で一つにまとめられている。
最初の3曲あたりは立て続けで余裕のない感じがしましたが、残りの曲は上手く映画に馴染めていたように思います。
特に好きだったのは“私は最強”です。
ウタが歌いながら戦闘を始めるシーンはとてもワクワクしたし、新鮮みがありました。
曲ごとに映像のスタイルを変えていたのも、楽しめるポイントでした。
どの曲もUTAの心情、状況や展開とマッチしていてよかったです。
ストーリーの良し悪しでいうと、あまり良くはなかったです。
やはり、登場キャラが多すぎて深いとこまで描ききれてない感が拭えない。
宣伝目的の大人の事情だと思うので、仕方ない気はします。
しかし、淡白な感じというか、ストーリーの進行にリズムがない感じというか、は改善できる余地はあったんじゃないかと思いました。
「静」と「動」で常に「動」が続いてる感じです。
あと、全体を通して緊張感がなかったのが、あまり乗りきれなかったポイントかもしれません。
ストーリーはあまり良くなかったですが、そこまで破綻していたという訳でもないです。
ルフィとウタが幼馴染だったとかの設定に少し無理があるなと感じるくらいで、多すぎるキャラさえ絞れればもっと厚みのあるストーリーにできたのではないかと思います。
例えば、ビッグマムの一行とかロー、バルトロメオ、ブルーノ、カリファあたりはいなくても支障はなかったのではないかと思います。チャルロス聖に関してはノイズでしかないです。
それらを削ってもっとウタやルフィ、シャンクスの過去にフォーカスできれば、ラストの戦いの意味や深みが増したのではないかと思います。
あと、この映画を見た後に是非それぞれの曲の歌詞を見返してみていただきたいです。
一言一句無駄のない歌詞でウタがどんな気持ちでこの歌詞を書いたのかを想像すると、胸が苦しくなります。
“私は最強”のラスト「私は最強」から「アナタと最強」に変わる。
このアナタが一体誰を指しているのか、世界中のファンかもしれないし、ルフィかもしれないし、シャンクスのことかもしれない。
劇中、この曲を歌うタイミングでは歌詞にそこまで深い意味を感じませんでしたが、映画を見終えてウタの過去や思いを知ったあとでは、見え方が変わってきました。
「最愛の日々
忘れぬ誓い
いつかの夢が私の心臓
何度でも 何度でも 言うわ
“私は最強”
“アナタと最強”
“アナタと最強”」
映画の楽しみ方は人それぞれですが、映画を見てすぐに答えを出すのは少しもったいないのではないかと思います。
今回は音楽映画ですし、曲の歌詞をじっくり読み返してみると新しい発見があると思います。
見終わったあとに余韻に浸れる映画は、良い映画だと自分は思います。
自分もそこの歌詞でゾクっとしました!
ウタが元からこのライブをすることに不安を感じていたこと、それに葛藤していたことが伺えて胸が苦しくなりました…!
カリファだけは本当に何もしてないですからね笑笑
「私は最強」ほんと最強でしたね!
終盤の歌詞
[さぁ怖くはない?
不安はない?
私の思いは皆んなには重い?
歌唄えば心も晴れる
見事なまでに私は最恐]
を見て鳥肌立ちました。
もはや、漫画、音楽、映画。全部ひっくるめた最高なエンターテイメントだと思いました!
個人的には権力の象徴としての天竜人を含め、能力等で出過ぎたキャラはギリ許せたんですが、カリファだけは本当に謎でした。笑
フォロー&コメントありがとうございます!
ミュージカルではなく音楽映画、まさしく仰る通り♪
ローとブルーノは彼ら個人ではなく、シャンブルズとドアドアが必要だったのではないかと理解しました。ブリュレもw