「フィルムシリーズを壊し、原作を壊す作品」ONE PIECE FILM RED Xeroさんの映画レビュー(感想・評価)
フィルムシリーズを壊し、原作を壊す作品
まず歌から始まる。これはいい。別にいい。
特に理由もなく海賊に狙われるウタ。4皇にも目をつけられている。わけわからん。
てかシャンクスの娘って会場で知る前になんでビッグマム海賊団という大きな海賊が一人のただの歌う少女を狙ってた?なんですでに五老聖が目をつけていた?設定が無茶苦茶じゃないか。
まー当然だろうけどウタの声優とAdoの合わなさは酷かった。たぶん自由にしていいって言われたんだろうけどAdoが完全に自分丸出しで“ウタ”というキャラをフェードさせていた。これはまー歌い手と声優を別々にしたら起こりえるものだが、それにしても酷かった。合わせる気もないから別々のキャラって感じ。Adoの良さである低音も声優に合わず、これならもっと声優に似た歌手を選んでほしかったと思うばかり。Adoを選んだ上の人たちも悪いし、キャラを演じるということを全く理解していないAdoも悪い。
あとこれまでのフィルムシリーズの構図をすべて壊してしまっている上に、原作にもない設定を作ったりと滅茶苦茶。
まずフィルムシリーズの方だが、これまでフィルムシリーズ3作はメインの敵(シキ、テゾーロ、ゼファー)とその取り巻きをルフィ、ゾロ、サンジがそれぞれ個々の戦いで打ち勝つというものであったが、今回はルフィだけが戦った感じ。ゾロやサンジの恒例の熱い戦闘シーンの演出はよくわからんゴーレム戦で無駄遣い。なんでそんな敵に演出を使った?
またフィルムシリーズの敵対構造の背景として毎回麦わら海賊団の大切な何か(ナミ、麦わら帽子、ゾロ)が奪われて、それを取り返すために戦うという構図があったが、今回はそれも無し。ルフィが今作中で行った「戦う理由がない」その通りである。最後まで戦っている理由がわからない。
このようにフィルムシリーズの中枢を壊して、良くしているわけでもない。
また原作ファンにこれを見せておけば喜ぶだろうと安売りのように見せつける演出も最悪。ルフィがロジャーの処刑のように見せるシーンだったり、ベックがクザンを銃でけん制するだったり、安売りしすぎ。本誌で熱いだけに、冷める。よくこれやろうって監督言ったな。
しかもパラレルワールドを見聞色で見れる(これは視覚共有できる、のほうが正しいかもしれないが…)だったりルフィの麦わら帽を破ったりと、原作でもないようなことをやったり、大切にしていることを平気で壊すなど、見ていて不快・不満しかない。何かこれまで積み上げられてきたものを壊せば新しいことへの挑戦のような響きの良いものを得られると思い込んでいる監督、観衆がダメなんだろう。それがこの作品を生み出したのだと思う。
総じてワンピース作品、フィルムシリーズとして最悪であった。正直フィルムシリーズから外してほしい。本気でそう思う。あと新しいことへの挑戦と言って積み上げてきた素晴らしい宝を壊した監督は本当に作品を堕としてしまったと反省してほしいし、最近有名だからとAdoを起用したことでただ長いAdoのMVを観せられた感じであって、ワンピースを見れなかったことが残念である。まだ言い切れないほど不満はある上に、その詳細を説明できていないが、長くなったのでここで終わらせようと思う。
まー大衆向け映画としては楽しめる作品ではあったと思う。それでも☆3くらいだが…。