「【モンクを想う】」モンク・イン・ヨーロッパ ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【モンクを想う】
ジャズ好きの友人がいたおかげで、ジャズを聴き齧り始めて、ジャズ好きになったのだけれども、それでも、”ジャズはアメリカ”みたいな偏見はあって、ヨーロッパでもジャズが盛んだと知ったのは、バックパッカーをしていた時だった。
それで、その後、ロンドンに住んでた時には、毎週試験があるのに、週のどこかでソーホーにあるロニー・スコッツに脚繁く通っていた。
ロニー・スコッツはヨーロッパ有数のジャズ・ナイトクラブで、でも、立ち見席は、ワン・ドリンク付きでかなり安い。
ユーロ・ジャズなんていう言い方もあるが、この「モンク・イン・ヨーロッパ」を観ると、ロンドンだけじゃなく、ジャズはいろんな国で愛されてきたんだななんて思ったりする。
映画としては、この「モンク・イン・ヨーロッパ」の方がセロニアス・モンクの演奏を長く聴くことが出来るので少し嬉しいのと、こうしたセッションの時に見せるモンクの特徴を思わせる場面…、自分のピアノ演奏をやめて、他に演奏を促すところなんかはそうらしいんだけれど、そんなところも注目して、僕は楽しめました。
「彼の音楽はたとえて言うならば、どこかから予告もなく現れて、なにかものすごいものをテーブルの上にひょいと置いて、そのまま何も言わずに消えてしまう”謎の男”みたいだった。モンクを主体的に体験することは、ひとつのミステリーを受け入れることだった」
この村上春樹さんの「セロニアス・モンクのいた風景」の文章は、セロニアス・モンク評としては、あまりにも有名なのだけれど、僕なんかには、なかなか難解だ。
でも、また思い直して、ジャズを”読んで”みるのも良いかななんて思った。
その上で、セロニアス・モンクを主体的に聴いてみたら、もう少しジャズの良さを理解できるかもしれない。