「【”利他の大切さ””愚かしき武装勢力の男達は、どれだけ非人道的行為を行うのか!”コンゴ東部の都市で、命を懸けて心身共に傷ついた女性達を救う崇高な医師の姿を追ったドキュメンタリー作品。】」ムクウェゲ 「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”利他の大切さ””愚かしき武装勢力の男達は、どれだけ非人道的行為を行うのか!”コンゴ東部の都市で、命を懸けて心身共に傷ついた女性達を救う崇高な医師の姿を追ったドキュメンタリー作品。】
ー 今後民主共和国東部の都市、ブカブでは今でも年間2500~3000人の女性が100を超える武装勢力にレイプされ、心身に深い傷を負っている。生後半年の赤子が含まれていると伝えられた時には、耳を疑った。-
◆感想
・ブカブは隣国、ウガンダ、ルワンダと近接しており、更にスマートフォン、やパソコンに欠かせないレアメタルを始め、鉱物が豊富な土地である事。
それ故に、隣国からも武装勢力が国境を越えて侵入してきて、コンゴ人民を虐殺したり、”自分達の力を誇示するために”女性を年齢問わずにレイプしているという実態。
- 恐怖による、支配を図る武装勢力。それに対し、コンゴの司法機関は腐敗し、法治国家としての機能を果たしていない事が、描かれる。
懲役5年でも、刑務所長に賄賂を贈れば、4カ月で刑務所から出てくる”不処罰”の文化が生み出す負の連鎖。-
・その状況に対し20年以上も、傷ついた女性を保護し、長い時間を掛けてケアをするムクゥエゲ医師の姿。彼の家の周囲には国連兵士が24H、警備を行っている。過去に暗殺未遂事件に会ったからだ。
- それでも、彼は屈せずに日本を含めた世界を飛び回り、コンゴの窮状を訴える。
・”皆が使っているスマートフォンは、コンゴ人の血に塗れている。”
・”知っているのに、知らない振りをするのは同罪である。” -
・劇中、元、武装勢力に所属していた20代の穏やかそうな男性が登場するシーンも印象的だ。武装勢力に家族を殺され、母や姉がレイプされ自分は強制的に武装勢力に連行され・・、いつの間にかドラッグを服用しながら、レイプする側に回っている。
- 正に負の連鎖である。-
<大変、重く見ていて苦しい気持ちになるドキュメンタリー作品であるが、一人の崇高な医師の姿が印象的である。
ムクゥエゲ医師は、日本を訪れ、元安倍首相とも会ったそうだが、日本はキチンとした支援をしているのであろうか・・。
広島に落とされた核爆弾のウランが、コンゴ産だったという話も、切ない。
法治国家として、キチンとコンゴ行政府が機能していれば、あんなに貧しい国ではなく、レアメタルを始めとした貴重な天然資源により、富める国になっていたであろうに・・。
今作は、大きな問題提起を観る側に投げつけてくる作品である。>