「日勤でヴァンパイア・ハンター」デイ・シフト 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
日勤でヴァンパイア・ハンター
ヴァンパイア・ハンター。
映画やアニメの世界でちょくちょく登場。凶悪なヴァンパイアを狩る。命の危険を顧みず、アウトローなイメージで、勿論架空の仕事。
そんなヴァンパイア・ハンターが活躍するのは、ヴァンパイアが行動する夜が多い。
では、昼間は何してる…?
ヴァンパイアと同じくお休み…ではなく、闘いに備え、身体を鍛えたり、武器の手入れをしたり、計画を練ったり…。
それか、プール掃除…。
陽光降り注ぐカリフォルニアのとある町。ここでヴァンパイアを狩るベテラン・ハンターのバド。
昼間はプール清掃員、夜はヴァンパイア・ハンター。
ヴァンパイア・ハンターが二足のわらじというのがユニーク。
さらに、ヴァンパイア・ハンターが“仕事”として成り立っている設定なのもユニークかつ目新しい。
組合があって、事細かな規定があって、ヤな上司がいて…。
ヴァンパイアの牙が高く売れる。
日勤(=デイ・シフト)と夜勤(=ナイト・シフト)の二交代制。どの業種も夜勤の方が稼げるようで。
ヴァンパイア物でありながら、まるで組合所属のお仕事コメディ…?
バドは何度も規定違反し、組合を追い出された身。非正規のヴァンパイア・ハンターとしてやっている。
そんなある日、是が非でも大金が必要に。
妻とは離婚、娘とは定期的に会っているが、娘の費用がかかり、元妻はフロリダへ引っ越す考え。
用意出来なければ、離れ離れになってしまう…!
そこでバドは、旧知のビッグ・ジョンに相談。彼の助けで、久し振りに組合へ。
相変わらず上司はネチネチネチネチムカつく奴だが、下げたくない頭を下げて、何とか“仮雇用”として働ける事に。だけど、夜勤はダメ、日勤。
娘の為だ、仕方ない。稼がなければ。世のお父さんは大変だよ…。
さらに面倒な事に、監視役としてデスク職の若造がついてくる事に…。
オレオレな現場一筋のバド=ジェイミー・フォックスと、現場初のヘタレ若造セス=デイヴ・フランコのやり取りが笑える。
今時のナヨナヨ男子の典型のようなセス。知識だけは充分で、初の現場にパニクり、ヴァンパイアにビビり、失禁…。規定規定のお堅い頭のがんじがらめ。
そんなヒヨッコ男子にうんざりのバド。足手まとい。
終盤、セスの身に危機が。
と同時に、ちょっぴり逞しく“変貌”。
バドとセスのバディ・ムービーでもある。
監督は『ジョン・ウィック』でスタント・コーディネーターを務めただけあって、アクションは本格的。
開幕早々、老婆ヴァンパイアとのバトル。
“日勤”なので、ヴァンパイアとのバトルは専ら屋内。スケール感には乏しいが、銃、剣、力技を駆使して、家の中を活かした激しいぶつかり合い。
バドとライバル関係の屈強な兄弟ハンターの連携バトルは見せ場。
ずっと家の中じゃ狭いので、カーチェイスのサービス。『マリオカート』みたいなゲームのようなド迫力。
グロは激しいが、笑いでオブラートし、お気楽に見れる痛快アクション。
そこが見易さでもあり、人によっては期待外れ。
怖さは皆無。ヴァンパイア物だからと言って、本作にホラー色は期待しない事。
ノリノリお気楽過ぎて、スリルは盛り上がらない。
開幕で退治した老婆ヴァンパイア。町の一画を買い上げ、不動産王として君臨し、ある野望を企てる、数百年生きる女ボスヴァンパイアの“娘”。
大事な娘を奪われ、バドに復讐。
バドの妻と娘を人質に取るのだが…、何故か絶体絶命ピンチのハラハラドキドキが感じられない。
女ボスヴァンパイアは冷血ではあるが、今一つ脅威感にも欠ける。最期もアレ~?ってなくらい呆気なくやられるし。
家族の為に頑張る奮闘パパとお仕事ヴァンパイア・ハンターの、ほどよく楽しめるアクション・コメディって感じで。
何かと収入が欲しい昨今。
ヴァンパイア・ハンターのお仕事はいかがですか?
日勤で。
ところで、あの黄色いパウダーをお尻に塗ったらどうなるんだろう…??