「好みは分かれると思うが」仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル れもんさんの映画レビュー(感想・評価)
好みは分かれると思うが
シリーズ屈指の名作と言われた最終回以後、専用のガイドラインがあると言っても過言ではないほどに特に細心の注意を払って扱われてきた印象のあるオーズ。今作も、「やってはならない」「やるべきでは無い」ことをリストアップし、可能な限り避けたようだ。(先行販売BD特典のオーディオコメンタリーでも、MEGA MAXや平ジェネFinalでの展開の焼き回しにしても意味が無いと考えていたという旨を明らかにしていた。)
原作者ともいえる小林靖子氏と武部Pの過去の発言やMEGA MAX内のアンクの言動からも、結末そのものは避けられぬ運命だったように感じる。最も、それを描写して妄想の余地を無くしてしまうべきではないという意見は十分理解できる。
オーズのガイドラインにのっとって、最大限オーズに擦り寄って描こうとした果てに絞り出された展開であろう。
結末が賛否を呼ぶ点に関しては思い入れというより好みやオーズに対する千差満別の解釈の違いが起因しており、おそろく純粋なハッピーエンドでも一定数の批判は免れなかっただろう。ことに、人気シリーズの完結編と謳ったものはそういう運命にある。個人的にはやらんとする内容、言いたいこと自体は分かる話であり、主演・渡部秀の圧倒的かつ繊細な怪演とも呼べる演じ分けを見られただけでも「いいね」を押したい作品だった。この作品を象徴する「違和感」を意図的に演出するのも上手く(逆にここが批判を呼ぶ点の1つでもある。)、Vシネ作品群の中でも映像の完成度そのものは上位に食い込む。しかしツッコミどころがないかと言われるとむしろ多い部類(見れば大体の人がピンとくる問題点ばかり。)で、10年経ったからこそ出来る作品ではあるが10周年と謳ってやっていいことなのかと言われるとパンドラの箱を開けてしまった作品であり、手放しに賞賛は出来ない。しかし、見た人の数だけオーズの形があり、その人にハマるかハマらないかはその人次第でしかない。兎にも角にも自分の目で一見し、各々の意見を持っていただきたい作品である。本作を見る前後にTTFCの「復活のコアメダル序章」と2011年の「MEGA MAX」のオーズパートを見ておくと解像度がグッと変わってくるかもしれないので、参考までに視聴を強くオススメする。