「この結果の分析ができなければ東映の明日こそ無い」仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル nikoさんの映画レビュー(感想・評価)
この結果の分析ができなければ東映の明日こそ無い
東映はこの結果を真っ当に分析することができなければ、今のブランド力を維持し続けることは困難だと思う。今や莫大な資本を投入した海外資本のエンターテイメントに、容易に安価にアクセスすることができる。子供向けコンテンツも海外発の良質なものが豊富にあり、子供たちのテレビ離れはおそらく今後も止まることはない。
作品ごとの成功要因、敗北要因を冷静に分析できないエンタメ製作会社は次第にファンに呆れられ、見放されていくだろう。
ここで低評価を叩きつけている人間は、ベルトやメダルは当然のこと、円盤を買い揃え、イベントに行き、CSMを購入し、フィギュアを買い、プレミアムバンダイ商品を購入し続けて、オーズという作品を直接的に支えてきた人たちだ。
そういう直接投資を続けてきたファン層が怒り狂い、嘆き悲しんで低評価レビュー叩きつけている。
賛否両論と言われているが、より真剣であったファンこそ「否」であることはそれぞれのレビューを読めばわかるだろう。はっきり言って見ている次元がまるで異なっている。
オーズという電王に次いで平成ライダーを代表する成功作であった作品の、一体何がこんなにも受けたのか。何がそこまでファンを熱狂させたのか。それを真剣に分析せず、製作陣の独りよがりで幼稚なシナリオを許したこの体質は、大げさではなくこの会社の未来そのものが暗いことを示している。
製作費が限られていること、メインライターが使えないこと。制限のある企画であることはわかる。
だが、制限があるからこそ、最大限の結果を出すには原作の成功の分析が欠かせなかったはずだ。
まさか玩具のデザイン、ギミックが受けただけとでも思っていたのだろうか?
これまでこの作品が描いてきたことをあえて無視したのか、製作陣が本当に読みとることができていなかったのか。どちらかはわからないが何れにせよ致命的だ。
続編を冠する作品を作るにあたり、意外性を入れてファンを驚かせたいというクリエイターの気持ちはわからんでもない。しかし、それは原作の成功要因を分析し、それを踏襲した上でなければただのイキリでしかない。
公開から5日たった今、ヤフーの評価では★1.7。観た人の約75%が星1をつけるという異常事態だ。完全に製作陣がこの作品の性質を見誤ったと言っていい。
ファンに媚びなくてよかった、という意見を見かけたが、企業としてみれば「ばかめ」の一言だ。自ら顧客、それも太客を捨てて一体何がしたいのか。
これは戦況の分析もできない無能な司令官が、思い込みで作った無謀な作戦を遂行し、数多の兵を無意味に死なせたような作品だ。
役者たちのほうがよほどわかっていたんだろう。パンフレットには悔しさ、やりきれなさを暗に滲ませていたキャストもいた。彼らにとっても大切な作品だっただろうに気の毒でならない。今後、良い作品とスタッフに恵まれることを心から祈る。