「映司の "いつかの明日"」仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル k elowさんの映画レビュー(感想・評価)
映司の "いつかの明日"
未だに信じられないし、信じたくない。
あの火野映司が、、オーズになってグリードと死闘を繰り広げ、自身もグリードになってまでも、人を助けることを諦めず、どんな状況でも笑顔を見せてくれた映司が、、居なくなるなんて、、
辛すぎる。
当時小学生の俺にはオーズ本編の重さはわかっていなかった。この映画の為に久しぶりに改めて全話見た。こんなに深くて精神的に重くなる話だったことに驚きだし、こんなにも面白いものをリアタイしていたんだなって。
本編でも辛い思いして、10周年でも辛い思いして、いつ幸せなオーズが見れるんだ、、
たしかにこの辛さ、この重さがオーズだなって思うよね。
正直10周年だし、1番好きなプトティラが出るからワクワクして見に行った。結果見たいものは一つも見れなかった。(いい意味で)
プトティラも別の日野さんだったし、再開しての感動どころじゃなかったし、本物の映司の変身は敢えて一回もなかったし、、精神ダメージエグすぎ。
ゴーダが「タジャドルやらしてよ」ってところはめっちゃ腹立ったな
そんな気安くやるもんじゃねえんだよ!タジャドルは!
渡部秀くんの演技が凄くて若干の表情の差で映司とゴーダの演じ分けをしていたり、戦闘中の声もずっと普段の映司の高いままの声で、ゴーダが表面だけ映司を真似してる感じが良く出てた。
本当の映司がアンク達と話すシーンはずっと笑顔でいるあたり、映司らしいね、、自分がどんな酷い状況でもずっと笑顔だったもんね、昔から、、伊達さんにも「まずは自分が死なないことだ」とか比奈ちゃんにも「なんで笑ってるの?映司くんのことだよ」って言われてるくらいだったもんね、
アンクがずっと映司にくっついていることも出来たのに、映司はそれを拒否した。それが映司の決断。
最後にまた3人で手を繋げたけど、こんな繋ぎ方は嫌すぎるよ、、只々優しい映司が、どんな人にも優しく寄り添ってくれる映司が、巻き込まれて、見て見ぬ振りが出来なくて、命を落とす。映司みたいに人を見捨てられずそうゆう環境に身を置いてる人は、突然死が訪れる境遇に常にいるんだってことを思い知らされた。アンクが蘇った時、映司は既に死んでたってのが、リアルだった。
いくら強くても、人は人。死ぬ時は死んでしまうんだっていう辛さを良く演出出来ていたと思う。
アンク視点にすることで空白の10年間を説明する流れにもなっていて上手い。
期待していけばしていく程ブチ落とされる高さが大きくなるだけ。見なければよかった(いい意味で)
まだ映司が生きてる世界線に居たかった、、
何があっても笑顔で帰ってくる映司は???
あんだけ人の為に尽くして、最後も少女を守って息絶えて、、映司はいつ解放されるの、、
でも、映司は満足してるんだろうな。やっと届いた映司の手。これが映司のやりたいことだとわかっていてもこちらは辛すぎる。
考えるより先に困ってる人を見たら体が動いちゃうんだから、最後まで映司らしいや、、
背中を刺される時、痛々しかった。あんな映司の声聞いたことなくて辛すぎた。それでも大丈夫だよって女の子に言ってた。変わらないね映司。
これがオーズらしいと俺は思う。
どうにもならない不遇さ。楽して助かる命がない世界の無慈悲さ。リアルな現実。
辛かったけど、良かった。
好きだけど嫌い。そんな映画だった。
オーズの場合同窓会的な楽しい作品を創るという選択にはならなかったという渡部秀くんの言葉。素晴らしい。これぞ続編を作るという意味だと思う。
これこそオーズだし、誰よりもオーズと映司をわかってる人は渡部秀くんなんだから。
自分が渡部秀くんや制作陣に共感出来ててよかった。ちゃんと1番正しい形でオーズを楽しめてたんだと確認する良い機会になった。
もちろん手放しで誉めているわけではない。
オーズドライバーが2個あることやグリード達の意識持ちコア(タカメダルも映司の欲望で戻ったから古代オーズの欲望で戻ったのか?)や恐竜メダル(真木の中にあった3枚だけは割れてなかった?)がどう復元したのか、800年前の王は何故真木の歪みの中にいてどう復活したのか、グリード達オリキャスにしては出番短いし雑だなとかそこんとこはしっかりしてと思った。前日譚もあの短さなら本編に入れられたのでは?とか特に本編を補完するといった内容も無い前日譚だったし、バースX全く活躍しないし、変なとこでスキャニングチャージ(BGM)流れ出すし、尺短すぎだしと、不満は多々あった。
ただ制作のやりたいことや思いはめちゃくちゃ伝わって来た。本気でオーズに向き合ってくれて、娯楽ではなく旅の続き、終わりを描くという否が応でも賛否の分かれる展開にチャレンジしてくれたことに感謝する。
俺ならビビって無難な脚本にしてしまうだろう。
でもこの思い通りにならない展開こそがオーズであり、映司の旅であり、人の人生なのではないだろうか
今後もこの勇気を忘れずに作品を作り続けてほしい。
10周年の記念作品としてみるか、映司の旅の続きとしてみるかで評価は真っ二つに割れると思う。
ただ俺はファンが見たいものをなんの捻りもなく只々映像化することの方が続編作る意味がないと思うけどな。
貴利矢のときとかもそうだったけど好きなライダーが死んだからってそれだけで文句言うのは少々甘い蜜を与えられすぎたんじゃないかとも思う。(死にゃいいってもんでもないが)
今回の映司の死は女の子を守る為という大きいようで小さいことだったから、あっさりと意味もなく死んだように捉えてる人もいるが、あれが映司の1番求めてたことだし、映司はあういう状況であればあの選択肢しかないと思う。そうゆうことをずっとしてきて今までは周りのサポートなどもあってたまたま無事だっただけで、運が悪ければ死ぬ。人間なんてそんなものだろう。
他のライダーと違いオーズは紛争などの描写も多いので特に有り得そうな死に方だと納得できた。
今まであんな状況にいてずっと無事だった映司の方がおかしかったんだと思う。いつ命を落とすかわからないことにずっと巻き込まれていたし、映司の性格なら尚更首を突っ込まずにいられなかったから、、ついにその時が来てしまった、、
映司の方にも "いつかの明日" が来てしまったのだと思うと辛くて仕方ない。
映司が最後なぜ死を選んだという感想が多いが、あれはパンフにも書いてあったが既に死んでたって解釈なのだろう。仲間との奇跡の力で最後少しだけ息を吹き返したという描写に俺には見えた。
おそらく小林靖子なら最後ゴーダから分離した映司は死んだままで少女が助かったことすら知れずに逝ってしまったのではないかな。せめてもの毛利さんの慈悲だと感じた。
そもそも本編で映司は死ぬ予定だったから、オーズという作品は映司の死が必然だったのかもしれない。
アンクが復活する "いつかの明日" を素直に喜びたかった。
エンドロール。当時のOP映像。泣きました。(映司の「変身!」の声は欲しかったな)
渡部秀くん監修信じてよかった。
賛否両論あることがわかっててのこのチャレンジ。その勇気に拍手です。本気でオーズという作品に向き合ってくれて感謝。
ありがとう。仮面ライダーオーズ。
お疲れ様。火野映司。