「極悪」極主夫道 ザ・シネマ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
極悪
原作を初めて読んだ際にゲラッゲラ笑って、ギャップコメディの面白さを痛感しました。そのためNetflix配信のアニメも従来のアニメの作り方とは異なるものでしたが、津田健次郎さんはじめ声優陣のハマりっぷりも見事でとても好きでした。
しかしその前に放映されたドラマ版、これがまぁ酷かったです。原作改変というか原作要素を極薄にして、娘なんか追加して一軒家に住まわせて、主夫業あまりしないし、知能指数低めでギャーギャー言っているし、妙に家族愛を語ったり、シュールなギャグじゃなくてメタギャグ多めとかいう製作陣の原作リスペクトの皆無さには驚きました。玉木宏さんのビジュアルの完成度くらいしか褒められません。
そんな中、まさかの映画化。少し前のかぐや様同様、「極主夫道」は1話完結の物語で、ストーリー仕立ての回はあまり無いのでそもそも映画向けではないですし、しかも117分とかなり長め。オリキャラを監督のラブコールでぶち込んだりと既にやりたい放題だったのでハナから期待なんてしていませんでした。こういう時にこそ無料ポイント鑑賞が活きます。
まぁ結果は分かっていましたが、非常に嫌いな作品でした。原作のタイトルとキャラの造形を借りただけの駄目な実写映画化&ドラマ映画化でした。序盤のゴキブリが乳首にはっつくくだり以降原作要素はほぼなく、製作陣の思いつきで作られた様なつまらない家族愛とかを語られて煩わしかったです。
ドラマ版よりも悪い意味でぶっ飛んでいて、とにかくキャラがうるさいです。ほとんど騒ぐほどやかましいキャラクターはいないはずなのに、どいつもこいつも教育を受けてないのかってくらいうるさいです。人気キャストに罵詈雑言言わせておけばオモロいやろ?みたいな考えが透けて見えて地獄でした。
家の前に捨て子がいてその子を育てて、保育園に通わせて、それらを通じて子供との大切な繋がりを感じるとかいうクソくだらないシナリオに仕立て上げられていてキツかったです。感動風味で作っているのも腹が立ちます。
登場人物も限られていて大人同士の騎馬戦とか面白くなさすぎて見てられなかったです。空中戦とかジョジョパロだったり、雑なCGだったりと実写映画の醜悪さをギュッと詰め込んだ様なシーンでした。暴力で笑いをとる頻度が高かったのもかなり難ありでした。ビンタはたまーに挟まれるからこそフフフって笑えるのであって、数秒ごとにパンパン叩いたり殴ったりしても訳分からなくて面白くなかったです。某福田監督みたいな変な間も取り入れてはいますが…。ウェッ。
なんか…もう実写映画としても一映画としても最悪な作品だなと思いました。エンドロールでのNG集を見る限り現場は楽しそうだなと思ったのですが、そんなことどうでも良くなるくらい内容がつまらなかったです。この監督…今年あと2本も実写映画やるのだと思うと某福田監督を彷彿とさせな2020年がチラつきます。原作を知らない人は楽しめるかもしれませんが、原作を知っている人間も楽しめる映画作りをして欲しいなと思いました。そもそも映画化しないのが一番良いんですけどね。
鑑賞日 6/3
鑑賞時間 12:00〜14:10
座席 D-8