劇場公開日 2024年3月15日

「原作へのリスペクトが感じられる」デューン 砂の惑星 PART2 モロさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0原作へのリスペクトが感じられる

2024年4月4日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

難しい

自分用記録。もう25年くらい前にSF小説が好きで、特にこのデューンは夢中になって読んだ有名な作品。あのホドロフスキー監督も巨額の制作費で撮ろうとして結局頓挫してしまったのだが、その時の絵コンテや構想からハリウッド映画界は多大な影響を受け、後にスターウォーズのようなSF大作が誕生したという。

それくらいデューンの世界観は魅力的で壮大すぎて映像化は不可能と長年言われてきたし、観られる日が来るとは思わなかったので諦めていたが、もう技術的にそれを実現できる時代になったんだなーと感慨深い気持ちで鑑賞した。

すごいのは華やかにエンタメ化された脚色はされておらず、時代に合わせたポリコレ要素も感じさせずしっかりと小説の重厚な世界観をそのまま映像化していること。はっきり言ってデューン砂の惑星は黄土色とスティルスーツの灰色の地味色の世界なのだが、そうそう!これ感に満足。サンドワームが出てきた時はその迫力に胸が高鳴った。

と同時に、これを何十年も前に想像して活字化したフランクハーバートぱねえと思った!でもこの再現性からすると、観客は原作の予備知識あると無いとで見え方も熱量もだいぶ違うかも。今となっては面白くて内容の深いアニメやCGとVFXを駆使した映画も溢れているため、デューンの何がそんなに高評価なのかピンと来ない方もいるかも知れないが、SF映画界一周回って機が熟し本気のデューンに脱帽です。

ポールの成長譚から始まり、徐々に彼が内宇宙の真理に気付き覚醒していくのだが、かつて20代だった自分には哲学的思想が難しすぎて咀嚼しきれなかったけれど、見事に映像化されたこのデューンを通して今一度ポールが何になっていくのか、ポールが見た深淵は何だったのかを見届けたいと思う。あとキャスティング、俳優の演技が素晴らしく見応えがあった。

余談。原作では初期のポール少年はもっと初々しく快活なイメージで、ティモシーシャラメのような眼福モデル風イケメンではない。
映画だと怪しげな宗教的表現が色濃く、全体を通してやや重く陰鬱な雰囲気になっている。

モロ