「ネタバレ推奨作品でした!」デューン 砂の惑星 PART2 ケンイチさんの映画レビュー(感想・評価)
ネタバレ推奨作品でした!
昨今「ネタバレ禁止」に関して非常に配慮を求められる風潮ってありません?
一方で「映画を早送りで見る人」も増えてますよね。ネタバレ大歓迎で、あらかじめ内容を知った上で作品を「消費」したい人たちが増えているそうなんです。
そういう区分けとはちょっと違う角度かもしれませんが、私「ネタバレ推奨」な作品ってあると思うんですよ。
例えばね、ロシア文学の偉大なる名作「罪と罰」ってあるじゃないですか。
「罪と罰」を原作どおりの読後感をもたらすよう実に巧みに、上質に、見事に、2時間半くらいの映画が作られたとして、事前情報まったくナシ、初見1回の鑑賞で、充分その価値を評価・堪能できるかっていうと、大多数の人には無理筋な話だと思うんですよ。
「罪と罰」みたいに高尚な作品でなくても、例えば「三国志」とか「忠臣蔵」とか「ガンダム」もそう。それからしばしば大河ドラマに取り上げられるような歴史上の人物の物語もそう。
要するに、ある程度以上のリテラシーがあった方が断然面白さがアップする作品ってありますよね。
あるいは、繰り返し見れば見るほど面白さがアップする作品…って言うと、ちょっと誤解が生じちゃうかな…。
最近だと北野武の本能寺の変の映画とか、リドリー・スコットのナポレオンの映画ありましたけど、ああいうヤツ。『ロード・オブ・ザ・リング』のシリーズみたいなヤツね。
上手いことスパッと説明できないんですけど、ある程度のネタバレっていうか、事前にお勉強しておいた方が楽しめる作品、自分の中では「ネタバレ推奨作品」とカテゴライズしてるんですけど、この作品はまさにそれでした。
ネットでチラチラ見掛ける評価は「圧倒的な大作」とか「劇場で見なきゃダメ」とか、手放しに大絶賛なんですけど、少なくとも直前にパート1を見直すくらいの準備をしてから堪能すべき濃厚な作品だと思いましたよ。
何度でも劇場で見れば良いって意見もあるかもしれませんが、面白い作品が矢継ぎ早に上映される春休みの時期に、例えば普通に週5日お仕事をしてらっしゃる一般人が、1本およそ2,000円と移動時間も含めて軽く3時間以上の時間をかけて、その作品を存分に楽しめないなんて少々酷な話ですよ。
徳川家康とか織田信長とか新撰組とか、そんなの常識だろって意見はわからんでもないですが、独自な世界観のファンタジー作品とかSF作品とか、そんなマニアックなジャンル映画に一般教養で太刀打ちしろっていうのも多少常軌を逸してるような気がします。
ネタバレ推奨作品って確実にあると思いますよ。
そもそもデューンなんてマニア好みな作品の典型みたいなものでしょ。
この作品、むしろシリーズ完結してからシリーズ通して家でじっくり腰を据えて見た方が良くない?
ま、映画の楽しみ方は人それぞれなんですけどね。