劇場公開日 2024年3月15日

「暴力的な映像の快楽!宗教的要素を強く宿したSF叙事詩」デューン 砂の惑星 PART2 たくさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5暴力的な映像の快楽!宗教的要素を強く宿したSF叙事詩

2024年3月29日
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鑑賞方法:映画館

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時代を席巻したスーパーヒーロー映画が凋落の一途を辿る現在、もはや映画館で見る価値のある作品など現れないのではないかと希望を失っていた。

しかし、ここに来て圧倒的なまでの映像体験を提示する作品が一筋の光明となって生み出された。

広大な砂漠。強い信仰心をもってそこに共存する人々。そして全てを飲み込む砂虫。IMAXフルサイズで映し出される世界は、クローズショットとロングショットを行き交いながら、観客をぐんぐんと引き込んでいく。特に終盤のハルコンネン家・皇帝一派との戦争シークエンスは圧巻で、軍隊やそれに連なる航空戦力を、砂虫が文字通り飲み込んでしまうのだ。

ストーリーに関して、DUNEが他のSFと異なる点として宗教色の強さが挙げられるが、本作ではその要素が前面に現れている。ポールはフレメンのリサーン・アル=ガイブとしての証を宿し、預言者となって彼らを導きながら、ベネ・ゲセリットの血をもってクウィサッツ・ハデラックとしても覚醒していく。つまり、彼は異なる2つの宗教における最上位存在となっていくのである。

前作のスローペースぶりは何だったのかと思わずツッコんでしまいたくなるほどの物語の展開の数々で、そこまで見せてもらっていいですか!?と心配になるほどだった。

どんどんと救世主として祀りあげられていくポールは、しかし不穏な空気をまとったまま、物語の終焉を迎える。ハルコンネン家も皇帝も討ち取った今、最終的なDUNEという神話の帰着として、どのような方向に収束していくのか。強い光を目に宿したチャニによって、ゼロレクイエムが行われる展開に1票。

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