「恒星間航行に必要とされるスパイスを唯一生産できる砂の惑星アラキス。...」デューン 砂の惑星 PART2 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
恒星間航行に必要とされるスパイスを唯一生産できる砂の惑星アラキス。...
恒星間航行に必要とされるスパイスを唯一生産できる砂の惑星アラキス。
皇帝より新たな支配を命じられたアトレイデス家は、宿敵ハルコンネン家の急襲に遭い、ほぼ全滅に近い。
生き延びた息子ポール(ティモシー・シャラメ)と母レディ・ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)は砂漠へ逃亡。
スティルガー(ハビエル・バルデム)率いる砂の民フレメン集団と出逢い・・・
というのが前作までの話で、今回はその続き。
宿敵ハルコンネン家の追手が迫り、皇帝の陰謀も絡み、ポールはフレメンたちの伝説「外からやって来て、フレメンたちを救う救世主」と目され、フレメンを率いてハルコンネン家と戦う・・・と展開する。
そう展開するのは観客たちは百も承知、これまで数多く観てきた物語だから。
そうすると興味の焦点は「描写」ということになるわけで、砂の惑星を中心とした画面は圧倒的な画力がある。
砂漠の描写のみならず、フレメンたちが集う洞穴の様子、ハルコンネン家のコロッセウムなど迫力ある映像が、悠揚と描かれます。
なので、いやぁほんとに素晴らしい、の一言でレビューを終えたいが、いやいや映画は画力だけはないよね。
物語の語り口、主人公を中心とした人間同士の葛藤とか、画力だけでは描けないところもみたいわけで。
その点からすると、かなり淡泊な印象は否めない。
ポールは予知能力を得て、自分がフレメンの救世主として頂点に立ったあとの悲惨極まりない戦闘がつづく世界を予め検知している。
それでも、その地位に立たざるを得ない・・・というあたりがわかりづらい。
また、ポールが救世主の座に就くのを、陰謀めいた考えから支え、フレメンの教母の座に就くのが母のレディ・ジェシカなのだが、彼女の陰謀めいた考えもあまりうまく描かれない。
どうもこの物語、主題は「生物学的な血統の継続」、つまり、生物としての生き残りを描いたもののようで、物語を裏で動かしているのがベネ・ゲセリットと呼ばれる高次の能力を有する女性たち。
男性諸氏は、彼女たちにとっては駒のひとつに過ぎず、ポールもその例外ではないのかもしれない。
とすると、映画のラストでポールは皇帝の娘イルーラン姫(フローレンス・ピュー)を選ぶが、選ばれなかった「砂漠の春」の正名を持つフレメンの娘チャニ(ゼンデイヤ)の確執が、こののち描かれることになるのだろうか。
また、ベネ・ゲセリットの教母(シャーロット・ランプリング)とフレメンの教母レディ・ジェシカとの確執も描かれることになるのだろうか。
そして、真の砂漠の救世主はレディ・ジェシカの胎内にいるポールの妹ということになるのであろうか。
となれば興味深い。
個人的には、ポールの物語は脇に置いておいて、という気分です。